第113回「勇者の対応」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
しばらくして――。
王城から、正式なアナウンスが発表された。
『魔王23号は勇者アルス率いる討伐隊によって討伐された』
その知らせは、瞬く間に世界中へと広がっていった。そして、コメライス村に滞在していたレインたちも、その情報を受け取っていた。
レインは真剣な表情で言う。
「緊急配信、始めるよ!」
カメラが起動する。
魔法通信を通じて、世界中の視聴者へ映像が届けられていく。
レインは、いつもの明るい笑顔を浮かべた。
「皆さん、緊急のお知らせです!」
隣にいたアイリスも、カメラへ向き直る。
「先ほど、王城から正式な発表がありました」
レインが続ける。
「魔王23号は、勇者さまが討伐したそうです!」
コメント欄が、一気に流れ始めた。
『勇者アルスさまっ!』
『驚異魔王を仕留めたか!』
『ありがたやー!』
『勇者すげぇ!』
レインも嬉しそうに頷く。
「さすがですねっ!」
アイリスも笑顔を浮かべた。
「本当に、ありがとうございます!」
レインはカメラへ向かって、深々と頭を下げる。
「勇者さま、討伐お疲れさまでした!」
そして、アイリスは少しだけ表情を和らげた。
「スイゴウ村周辺の皆さんも、これで一安心ですね」
レインも大きく頷く。
「これで、安心して過ごせます!」
コメント欄には、安堵の言葉が次々と流れていく。
『よかった!』
『スイゴウ村は無事なんだな!』
『勇者さま、ありがとう!』
レインはその様子を確認すると、いつもの調子で締めくくった。
「それでは、今回の緊急配信はここまでです!」
「皆さん、ありがとうございました」
アイリスが頭を下げる。
ナイトが静かにカメラを操作した。
「配信終了」
魔法通信が切れる。
そして、静かな空気が戻ってくる――。
レインは、しばらく何も言わなかった。
「……」
アイリスが不思議そうにレインを見る。
「どうしたの?」
レインは、少し考えるように首を傾げた。
「本当に倒したのかな?」
「え?」
アイリスが目を瞬かせる。
レインは先ほど聞いた情報を思い返していた。
「魔石が出てないって話も聞いてさ」
「……あ」
アイリスの表情が変わる。
魔王を討伐すれば、通常は魔石が残る。
これまで、レインたちが見てきた魔王もそうだった。
「普通の魔王なら、討伐したら魔石が出るよね?」
「そうね」
アイリスも頷く。
レインは窓の外へ目を向けた。
「だから、ちょっと気になるんだ」
「確かに……」
二人は顔を見合わせる。
勇者アルスが魔王23号を討伐した。
王城からも、正式にそう発表された。
けれど――。
魔石が出ていない。
それだけが、どうしても引っかかった。
遠く離れた場所で起きた、小さな異変。
それはまだ――。
レインたちのところまで、届いてはいなかった。
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この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




