【改稿】第11回「森の中に入る」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
朝の配信を終えたレインたちは、すぐに出発の準備を始める。
三人分の荷物をまとめ、必要な道具を確認する。
そして、街の乗合馬車へ乗り込んだ。
目的地は――北東の森。
ホミラタウンから北東に位置する森で、レインが魔王予報で見た場所だ。
◇
馬車はゆっくりと街を離れ、街道を進んでいく。
ガタゴト……。
ガタゴト……。
揺れる幌馬車の中。
レインは膝の上に地図を広げ、北東の森をじっと見つめていた。
「うーん……」
隣からアイリスが地図を覗き込む。
「何か分かった?」
レインは地図上の北東の森を指差し、クルッとなぞった。
「魔王の降臨はこの辺だと思うけど、予報は三日以内なんだよね」
まだ降臨の正確な日時までは分からないようだ――。
レインは、少し申し訳なさそうにアイリスを見る。
「だからさ……何日か泊まることになるけど、いい?」
アイリスは地図から顔を上げ、レインを見つめた。
「もちろんだわ、せっかくここまで来たのよ。予報が本当に正しいのか、確かめることも大切でしょう?」
「そうだね!」
レインはさすがアイリスといった表情でウンウンと頷く。
その一方で、ナイトは持ってきた荷物を確認していた。
「食料、水、それにテント……」
荷物をひとつずつ確かめながら、静かに頷く。
「森での待機だ。キャンプ道具は必須だな」
「キャンプかぁ……なんかあたしたち冒険者みたい!」
レインは、ナイトの作業を見ながらつぶやいた。
そこに、アイリスが少しいたずらっぽい笑みを浮かべる。
「冒険者と配信者の二刀流でも目指す?」
「冒険者は無理かなぁ……魔王を探すだけで精一杯だよ」
レインは笑いながら首を横に振った。
「それもそうね」
アイリスもクスクスと笑う。
「ところでナイト。今一生懸命、確認してるようだけど……それって出発前にすることじゃないかしら?」
ナイトは、目線をすっと馬車の外へ向けた。
レインが苦笑いを浮かべる。
「あはー! アイリスは厳しいなぁ」
「いやいや、当然のことよね?」
窓の向こうには、どこまでも続く街道が伸びている。
揺れる幌馬車はそのまま、目的地の北東の森を目指して進んでいくのだった。
◇
しばらくして――。
馬車はゆっくりと速度を落とす。
やがて、御者の威勢のいい声が響いた。
「北東の森だよー!」
レインたちは荷物を抱え、馬車から降りる。
目の前には――。
大きな森が広がっていた。
昼間だというのに、森の奥は薄暗い。
風が木々を揺らし、ざわわざわわと葉擦れの音が響く。
レインは目の前に広がる森を見つめた。
「ここかぁ、ちょっと怖いなぁ……」
アイリスも漂ってくる森の冷気を肌で感じている。
「思ったより大きな森ね」
「魔王が降臨するのはどの辺か分かるか?」
ナイトの問いかけに、レインは少し首を傾ける。
「なんとなく、森の中かなぁ……」
ナイトは静かに周囲を見回し、慎重に口を開いた。
「闇雲に森の中へ入るのは危険だが……」
アイリスも同意するように頷く。
「気は進まないけど、少し中に入るしかないわね」
「えっ? 森の入口でキャンプじゃダメなの?」
レインが尋ねると、ナイトは落ち着いた声で返した。
「街道沿いは風が吹き抜ける。数日過ごすなら、雨風を凌げる場所のほうが望ましい」
「それに、街道から丸見えの場所だと、野盗に目をつけられるリスクもあるからな」
アイリスも不安そうな表情で続ける。
「そうね……魔王と同じくらい、人間の野盗も厄介だわ」
「ああ。野宿をするなら、少しでも身を隠せる場所がいい」
二人の説明に、レインはポンと手を打った。
「あ、そういうことね……うん、多分知ってた!」
アイリスは絶対分かってなかったでしょという表情でレインを見つめる。
対してレインは目を伏せる。
今だけはアイリスと目を合わせたくないようだ……。
そんなこんなで、三人は静かに森の中へと足を踏み入れていくのだった。
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