【改稿】第10回「魔王予報士のお仕事です」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
ホミラタウンの中央広場――。
街の広場には、大きな魔法通信の画面が設置されている。
昨日の新コーナー魔王予報の発表も、いつもの視聴者の間では多少の話題にはなっていた。
しかし、世の中の反応は全くなく、いち配信者がなにか言った程度だ。
レインの天気予報の定時配信の時刻となる――。
レインはいつもの笑顔で手を振り、元気よく声を上げる。
「皆さん! おはようございます! 今日の天気予報のお時間です!」
すぐにコメントが流れ始める。
『おはよう!』
『今日も見てます!』
『新コーナー楽しみ!』
レインは嬉しそうに笑った。
アイリスは手元の資料を確認する。
「まずは通常の天気予報からです」
今日の天気――。
気温、風向き、雨の可能性――。
山へ向かう人への注意情報――。
番組は順調に進み、いつもの天気情報は終わった。
レインは一度、深呼吸する。
ここからは、新しい時間――。
「それでは皆さん! 新コーナーです」
コメント欄が一気に動いた。
『何が始まるんです……?』
『来た! 魔王予報!』
『魔王……とは?』
レインは大きな地図を広げる――。
その表情から、いつもの明るさが少しだけ消えた。
これから伝えるのは、人々の命に関わるかもしれない――そんな情報なのだ。
レインは地図の前で目を閉じ、一度深く息を吐く。
「それでは……魔王予報のお時間です!」
その瞬間――。
番組の空気が変わった。
レインは、目の前に広げた地図へ視線を落とし、ある一点を指差す。
「場所は――ここです」
ホミラタウンから少し離れた、深い緑に覆われた場所だった。
「北東にある森です」
アイリスが地図を覗き込む。
「人が住んでいる場所にも近いわね……降臨するのはいつ頃なの?」
レインがゆっくりと口を開く。
「……三日以内」
そして、はっきりと告げる。
「魔王降臨確率……80%です」
その瞬間、コメント欄が一気に騒がしくなる。
『本当に?』
『魔王が出るの?』
『ただの占いじゃないの?』
まだ誰も、この新しい魔王予報という力を完全には信じてはいない。
前例がないのだから、当然と言えば当然だ。
それでも――。
レインは、自分が感じ取ったものを伝え続ける。
「魔王については、詳しくは分かりません」
少し申し訳なさそうに、レインは視線を落とす。
「でも……放っておいたら絶対に危険ですっ!」
レインは地図を畳みながら、静かに続ける。
「あたしたちは、魔王が現れる場所へ行きます」
コメント欄が、再び大きくざわめいた。
『行くの!?』
『また危ないことやろうとしてる……』
『現地からの中継?』
『ほんとに魔王でたらどうすんの?』
レインは、そんなコメントをひとつずつ、しっかり受け止める。
「はい! 魔王が現れるかどうか、ちゃんとこの目で見てきますっ!」
そして、これが使命だといった表情で宣言する。
「これが――魔王予報士のお仕事です」
◇
魔王予報の配信が終わった。
三人はすぐに、出発の準備を始める。
レインは『神ナリの剣』を手に取り――
アイリスは『女神の杖』を握り――、
ナイトは『女神のカメラ』の設定を念入りに確認する――。
いつもの配信とは違う。
これから向かうのは、本当に魔王が現れるかもしれない現場なのだ。
三人の表情にも、自然と固い緊張が浮かんでいた。
レインは一呼吸おくと、二人に向かって眩しい笑顔を向ける。
「初めての魔王予報……成功させよう!」
アイリスも笑顔で頷いた。
「ええ、もちろんよ」
ナイトはニヤリと笑みを浮かべる。
「任せろ! 魔王の姿、余すところなく撮影してやる」
三人は顔を見合わせ、深く頷き合った。
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