第111回「勇者の出動」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
コメライス村に滞在して、数日。
レインたちの天気予報配信は、今日も続いていた。
その背後には、一面に広がる青田。
朝の風が吹くたび、青々とした稲がさらさらと揺れている。
レインはいつものように女神のカメラへ向かって笑顔を見せた。
「皆さん、おはようございます!」
そして――。
「天気予報のお時間です!」
「おはようございます!」
アイリスも隣から挨拶する。
今日も穏やかな朝。
まずは、いつもの天気予報から始まる。
「最近、ゲリラ豪雨が多いですねっ!」
「晴れてても、傘が手放せませんっ!」
「でも、晴れた時の傘って、ジャマですよねっ!」
「わかりますー!」
コメント欄にも、すぐに反応が返ってくる。
『分かる!』
『折りたたみ傘、持ち歩くの面倒!』
『荷物になるんだよな』
「ですよねー!」
レインも大きく頷く。
そんな、いつもの天気予報。
けれど――。
天気予報が終わると、レインの表情が少し変わった。
「続いて、魔王予報のお時間です」
空気が変わる。
レインは静かに目を閉じた。
周囲の音を意識から遠ざける。
しばらくして――。
ゆっくりと目を開いた。
「魔王23号が現れそうです」
アイリスがすぐに尋ねる。
「場所は?」
「スイゴウ村付近」
レインは続けた。
「魔王の降臨確率、50パーセントです」
「かなり高めですね」
アイリスの表情も引き締まる。
レインは、さらに続けた。
「……驚異魔王の可能性が高いです」
アイリスがカメラへ向き直る。
「近隣にお住まいの方は、十分お気をつけください」
レインも頷いた。
「状況が変わりましたら、追加でお伝えしますね」
そこから、しばらく二人は魔王23号について話を続けた。
すると――。
コメント欄に、次々と書き込みが流れ始めた。
『勇者が出動するらしいよ!』
『決定早いな!』
『勇者さん頑張って!』
『今回は勇者に任せられるか?』
レインがコメント欄を確認する。
「勇者さま、出てくれるかも?」
アイリスも少し嬉しそうに頷いた。
「本当なら嬉しいですね」
レインはカメラへ向かって呼びかける。
「王城のアナウンス、確認してくださいね!」
『了解!』
『勇者頑張れ!』
コメント欄がさらに盛り上がる。
レインは、少し嬉しそうに笑った。
いつもなら、自分たちが現地へ向かうことを考える。
けれど――。
今回は違う。
勇者が動いてくれる。
それは、レインにとっても嬉しいことだった。
「皆さん、魔王が現れるかもしれません」
レインは、改めてカメラへ向き直る。
「でも、勇者さまも動いてくれています」
そして、いつもの明るい声で続ける。
「近隣の皆さんは、無理せず安全第一でお願いしますね!」
「それでは、今日の魔王予報はここまでです」
アイリスが締めくくる。
レインも笑顔を見せた。
「皆さん、気をつけて過ごしてくださいね!」
配信は、そのまま続いている。
画面の向こうでは、魔王23号の予報を受けた人々が、それぞれに情報を確認していた。
そして――。
コメライス村では、青田が朝の風に揺れていた。
穏やかな村の風景。
その一方で。
遠く離れたスイゴウ村へ向けて――。
勇者が、動き始めていた。
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この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




