第110回「教育方針の違い」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
レインは、ブランコから降りた。
「よしっ!」
そして、ヒナタへ振り向く。
「ヒナタちゃんもやってみよう!」
「やるー!」
ヒナタは嬉しそうにブランコへ駆け寄った。
しかし――。
その様子を見ていたアイリスは、少し心配そうな顔をしている。
「ちょっと待って」
「ん?」
レインが振り返る。
アイリスはヒナタのところへ歩いていくと、女神の杖を手にした。
「ヒナタちゃん、これ使って」
アイリスが身体強化の魔法をかける。
淡い光がヒナタの身体を包んだ。
「わぁ!」
「ケガには気を付けてよね」
「分かったー!」
ヒナタは元気よく返事をする。
レインは、その様子を見ながら首を傾げた。
「アイリス、そこまで心配しなくても大丈夫じゃない?」
「ダメよ」
即答だった。
「ジャンプはなしで!」
「「えー!」」
ヒナタとレインの声が重なる。
アイリスは二人を交互に見る。
「ブランコ初日でジャンプはダメっ!」
「アイリスは厳しいなぁ」
レインは納得できないような顔をする。
そこへナイトが口を挟んだ。
「まぁ、確かに初日だしな」
「ほら!」
アイリスがレインを指差す。
「レインを参考にしちゃダメ」
「なんでっ!」
レインが目を丸くする。
魔法通信のコメント欄も、一気に盛り上がった。
『教育方針の違い!』
『どちらの言い分も分かる!』
『俺はどっちも支持するっ!』
『安全第一!』
そんな二人をよそに、ヒナタはブランコへ腰を下ろした。
「じゃあ、いくね!」
「うん!」
レインが後ろへ回る。
最初は、レインに押してもらう。
ゆらり……ゆらり……。
ブランコが前後に揺れる。
ヒナタは紐をしっかり握っていた。
そして――。
少しずつ、自分で足を動かし始める。
前へ……後ろへ……。
身体の動きに合わせて、ブランコが揺れていく。
「……!」
ヒナタの表情が変わった。
もう、レインに押してもらっていない。
自分の力で――。
ブランコを動かしている。
「一人でも漕げるよっ!」
「おぉー!」
レインが嬉しそうに声を上げる。
アイリスも笑顔になった。
「やったじゃない!」
ナイトもカメラ越しに、その姿を見守る。
「上手くなったな」
ヒナタは嬉しそうに笑った。
そして、レインを見る。
「レイン姉ちゃん! 一人で漕げた!」
「やったー!」
レインも両手を上げて喜ぶ。
ヒナタは何度もブランコを漕ぐ。
そのたびに、楽しそうな笑い声が庭に響いていく。
コメライス村の庭に――。
また一つ、笑い声が響いた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




