第106回「のんびり配信」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
朝のコメライス村――。
昨日の雨が嘘のように、空はすっきりと晴れていた。
田んぼの近くにある巣。
その入口から――。
「クワッ!」
マカモが一羽、顔を出した。
続いて、もう一羽。
さらに、もう一羽。
眠そうな顔をしながら、マカモたちが次々と巣から出てくる。
「出てきた!」
レインが嬉しそうに声を上げる。
隣では、ナイトが女神のカメラを構えていた。
「マカモの出動だな」
マカモたちは、朝の田んぼへ向かって歩き始める。
てくてく。
てくてく。
小さな足音を響かせながら、一羽、また一羽と田んぼへ向かっていく。
「今日もお仕事ですねっ!」
レインも、その後ろ姿を見送る。
「マカモはよく働くな」
「本当だね」
すると、一羽のマカモが振り返った。
「クワッ!」
「いってらっしゃーい!」
レインが手を振る。
マカモは何事もなかったように田んぼへ入っていった。水面が小さく揺れる。そして、青々とした稲の間へ姿を消していく。
アイリスは、その様子を眺めながら微笑んだ。
「毎日こんな感じなのね」
「うん」
レインも頷く。
「朝になったらマカモが出てきて、田んぼのお仕事をするんだね」
「そして俺たちは、それを撮る」
ナイトがカメラを構えたまま呟く。
魔法通信の向こうでは、すでに視聴者たちが楽しそうにコメントを流していた。
『マカモ配信だ!』
『平和だなぁ』
『朝のマカモ観察』
『こういう配信もいいね』
『今日も元気に出勤してる』
レインはコメントを眺めて、ふふっと笑う。
「マカモ、大人気だね!」
そんな朝の時間が、ゆっくりと過ぎていく。
しばらくすると――。
レインとアイリスの隣に、ヒナタがちょこんと座っていた。
いつの間にか、配信にも自然に参加している。
ヒナタは青田を眺めながら、レインの顔を覗き込んだ。
「ねぇ、レイン姉ちゃん」
「ん?」
「何して遊ぼっか?」
「遊ぶ?」
レインが目を丸くする。
アイリスが、そんな二人を見て微笑む。
「今日は一日、ゆっくりできそうね」
レインも嬉しそうに笑った。
「じゃあ、何して遊ぼうか!」
「うーん……」
ヒナタは腕を組んで考え込む。
レインも一緒になって考える。
アイリスも二人の様子を見ながら考えた。
少し離れたところでは、ナイトがカメラを構えたまま三人を撮影している。
三人の視線の先には――。
一面の青田。風が吹くたび、稲がさらさらと揺れている。遠くでは、マカモが田んぼの中を歩いていた。
コメライス村には、今日も穏やかな時間が流れていた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




