第105回「虹がかかる」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
ゲリラ豪雨は、しばらくすると嘘のように止んだ。レインたちは雨音が消えたことに気づき、窓の外へ目を向ける。
「……あれ?」
レインが窓辺へ近づく。
アイリスも、その隣から外を覗き込んだ。
「雨、止んだわね」
「さっきまで、あんなに降ってたのにな」
ナイトも窓の外を見ながら呟く。
先ほどまで激しく降り続いていた雨が、まるで最初からなかったかのように止んでいた。
そして――。
雲の切れ間から、太陽の光が差し込んでくる。
「わぁ……!」
レインの声が弾んだ。
眩しい光が、コメライス村の田んぼを照らしている。雨に濡れた稲の葉が、光を受けてキラキラと輝いていた。
一面に広がる青田。
その向こうには、まだ雨雲が残っている。
そして――。
「あっ! 虹!」
レインが空を指差した。
空に、大きな虹がかかっていた。雨上がりの空を横切るように、七色の橋が伸びている。
「きれーい!」
ヒナタが窓へ駆け寄る。
コマチも微笑みながら空を見上げた。
「綺麗ねぇ」
「雨上がりならではだな」
コシオも、しみじみと虹を眺めている。
レインは、その景色を見つめたまま満面の笑みを浮かべた。
「青田と虹!」
アイリスも外の景色を見ながら、嬉しそうに頷く。
「これは絶対、配信で見せたいわね!」
魔法通信が繋がる――。
レインはカメラに向かって、声を弾ませた。
「皆さん、見てください!」
画面いっぱいに、コメライス村の景色が映し出された。一面の青田、雨に濡れた稲、そして、その上にかかる大きな虹――。
『うわぁ……!』
『綺麗!』
『最高の景色だな!』
『青田と虹、めっちゃ合う!』
『これは保存したい!』
コメントが次々と流れていく。
レインは、しばらく何も言わずに眺めていた。
やがて――。
「……来て良かったね」
アイリスが、静かに頷く。
「うん」
ナイトもカメラを構えたまま答えた。
「あぁ」
三人は、雨上がりの景色を眺めていた。
魔王も来ない、大きな事件も起きない……。
ただ、雨が降って、そして、虹が出た……。
それだけの出来事だった。
雨上がりのコメライス村――。
青々とした田んぼの向こうに、虹が静かにかかっていた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




