第102回「ゲリラ豪雨」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
コメライス村――。
レインたちは、青田の様子を配信していた。
女神のカメラの向こうには――。
一面に広がる、緑の田んぼ。
風が吹くたびに、稲がサワサワと揺れている。
「皆さん、見てください!」
レインが笑顔でカメラに向かって話す。
「コメライス村、今は青田ですっ!」
「本当に綺麗ね」
アイリスも、広がる田んぼを眺める。
ナイトもカメラを構えながら頷いた。
「田植えの時とは、全然違うな」
その時――。
「やぁ、久しぶり!」
聞き覚えのある声がした。
「あっ、コシヒコさん!」
レインが振り返る。
そこには、笑顔でこちらへ歩いてくるコシヒコの姿があった。
「またお世話になります!」
レインが元気よく頭を下げる。
「よろしくお願いします!」
アイリスも続く。
「いや、こちらこそだよ」
コシヒコは笑顔で答えた。
ナイトも軽く頭を下げる。
「よろしくお願いします」
「うむ、ナイト君もよろしくなっ!」
コシヒコも大きく頷いた。
三人とコシヒコは、笑顔で顔を合わせる。
紅貝の魔王との戦いを一緒に乗り越えた。あの出来事があったからこそ――。コシヒコとの距離は、以前よりもずっと近くなっていた。
コシヒコは、青々とした田んぼを眺める。
「田植えの時より、随分大きくなっただろう?」
レインも嬉しそうに頷く。
「はいっ! こんなに大きくなるんですね!」
それからしばらく――。
四人は田んぼを眺めながら雑談を続けた。
配信コメントも穏やかな空気に包まれている。
『平和だなぁ』
『コメライス村いいね』
『マカモもいる!』
『前回は大変だったからな』
『今日はのんびり見られる』
そんな平和な時間が流れていた。
その時――。
空が、少しずつ暗くなっていった。
レインが空を見上げる。
青空を覆うように、雲が広がっている。
「雨、降るかな?」
「予報したら?」
アイリスが言う。
「そうだね」
レインは空を見上げ、集中する。
そして――。
「……うん……雨、降りそう」
アイリスが尋ねる。
「どのくらい?」
レインは、空を見ながら答えた。
「ゲリラ豪雨だね」
「すぐに?」
「うん。すぐ――」
ザァァァァァッ!
突然――。
猛烈な雨が降り注いだ。
「わー!」
「きゃー!」
「うおっ!」
「これは凄いな!」
一瞬で、四人はずぶ濡れになった。
髪から水が滴り、服もすっかり濡れている。
アイリスがレインを見る。
「もっと早く言って!」
「言ったよ!」
レインも負けずに言い返す。
「もぉー、降る直前じゃない!」
アイリスは少し怒ってるようだ。
ナイトはカメラを守りながら、雨の中で呟いた。
「レインは天気予報士だよな?」
レインは堂々と胸を張る。
「天気予報士でも、雨に濡れることはありますっ!」
「開き直った!」
アイリスが即座に突っ込む。
「ハッハッハ!」
コシヒコが豪快に笑った。
「まぁ、これも天気というものだな!」
「そういう事ですっ!」
レインも笑いながら叫ぶ。
激しい雨が、青田へ降り注いでいく。
サァァァァァ――。
さっきまで青空の下に広がっていた田んぼは、雨に煙っていた。
それでも――。
豪雨の中には、四人の笑い声が響いている。
コメライス村に――。
また一つ、賑やかな思い出が増えた。
読んでくれてありがとうございます!
この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




