第97回「田んぼの勇者」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
コシヒコは、田んぼを見渡していた。クリムゾンシェルは、まだ増え続けている――。
そして――。
紅貝の魔王もまた、クリムゾンシェルからエネルギーを吸収し続けていた。
コシヒコは、しばらく田んぼを見つめる。
やがて、静かに呟いた。
「もう少し堪えてくれっ!」
そう言うと、コシヒコはいったんその場を離れた。
その頃――。
ナイトは、紅貝の魔王の攻撃を必死に受け止めていた。
ガンッ!
「くっ……!」
女神のカメラが、紅貝の魔王の爪を弾き返す。
「ナイト!」
アイリスが叫ぶ。
「まだ耐えられる?」
「あぁ!」
ナイトは紅貝の魔王から目を離さない。
「大丈夫だっ!」
ガンッ!
さらに一撃。
「まだまだいける!」
その後ろでは――。
レインが神ナリの剣を握りしめていた。
「どうしよう……」
剣へ魔力を送り続ける。
しかし、紅貝の魔王の成長速度は、それを上回っていた。
「チャージしても……」
レインは悔しそうに魔王を見つめる。
「魔王の成長の方が速い……」
配信コメント欄も、騒然としていた。
『ナイトさん頑張れー!』
『誰か! 誰かいないのかっ!』
『クリムゾンシェルが憎いっ!』
『どんどん魔王が強くなってる!』
その時――。
遠くから、誰かが走ってくる。
「待たせたな!」
「コシヒコさん!」
レインが振り返る。
コシヒコは、笑っていた。
そして――。
田んぼへ向かって、大きな声を上げる。
「さぁ! 村の仲間たち!」
レインたちが目を丸くする。
「クリムゾンシェルを食ってくれ!」
「えっ?」
レインがコシヒコの足元を見る。
そこには――。
数羽のマカモがいた。
「クワッ!」
「マカモ!」
レインの顔が、ぱっと明るくなる。
アイリスも驚いた。
「まさか……!」
次の瞬間――。
マカモたちが、一斉に田んぼへ入っていく。
バシャッ!
バシャッ!
水しぶきを上げながら、苗の間を進んでいく。
そして――。
バリバリッ!
「クワッ!」
マカモが、クリムゾンシェルを食べた。
一匹。
また一匹。
さらに一匹。
マカモたちは、次々とクリムゾンシェルを食べていく。
「グギャー!?」
紅貝の魔王が、驚いたように叫ぶ。
田んぼに増え続けていたクリムゾンシェルが、次々と減っていく――。
「はっはー!」
ナイトが笑う。
「最高だなぁー!」
「マカモさまぁー!」
レインが両手を上げて喜ぶ。
アイリスも目を輝かせた。
「まさか、ここでマカモが!」
配信コメント欄も、一気に沸き上がった。
『マカモの反撃だ!』
『マカモすげぇ!』
『クリムゾンシェル食べてる!』
『マカモさまぁー!』
『田んぼの救世主!』
コシヒコは、田んぼを見つめていた――。
マカモたちは、懸命にクリムゾンシェルを食べ続けている。その姿を見つめながら、コシヒコはゆっくりと口を開いた。
「田んぼはな……絶対に守るっ!」
コメント欄も、さらに盛り上がる。
『まさに、田んぼの勇者!』
『マカモさまっ!』
『田んぼの救世主だ!』
レインが叫ぶ。
「マカモ、頑張れー!」
アイリスも、状況を見ながら確信する。
「これなら、魔王の成長を止められる!」
ナイトは女神のカメラを構え直した。
「よし! 反撃開始だ!」
紅貝の魔王が、田んぼを見つめる。先ほどまで増え続けていたクリムゾンシェルが……。
今度は、減っている――。
「グ……」
紅貝の魔王が低く唸る。
その前で、マカモたちは何事もなかったかのように田んぼを泳ぎ続けていた。
「クワッ!」
水面を進むマカモたち。
その姿は――。
まるでコメライス村を守る、勇者たちのようだった。
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この作品は不定期で投稿してます。
※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。




