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魔王予報のお時間です〜午前中は魔王が暴れるでしょう。午後には討伐され絶好のスローライフ日和になるでしょう〜  作者: さば味リン
3章 転

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第96話「裏目の全村避難」

※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。

「こっちだ!」――。

ナイトが、紅貝の魔王の前へ飛び出した。


ガンッ!

女神のカメラで、紅貝の魔王の爪を受け止める。


「まだまだ!」

次々と繰り出される爪を、ナイトは必死に受け流していく。一撃ごとに、腕へ重い衝撃が伝わる。


それでも――。

ナイトは一歩も引かなかった。


レインは――。

神ナリの剣へ魔力を送り続けていた。剣に集まる魔力が、少しずつ強くなっていく。しかし、まだ一閃を放つ状況ではない。

「まだ撃てない……!」


アイリスも、ナイトを支え続ける。

「身体強化!」


杖から放たれた光が、ナイトの身体を包み込む。


「助かる!」

ナイトは力を増した身体で、再び紅貝の魔王の前へ出た。


そして――。

田んぼではコシヒコが動いていた。コシヒコはアミを構える。田んぼの中を這うクリムゾンシェルへ狙いを定めた。


「そこだ!」――サッ!

アミですくい上げる。

「一匹!」


捕まえたクリムゾンシェルを、田んぼの外へ運び出す。

「もう一匹!」――サッ!

すぐに別の個体へ狙いを定める。


一匹……また一匹……。

コシヒコは、少しずつ確実にクリムゾンシェルを取り除いていった。


このまま続ければ、田んぼを守れる……。

その時だった――。


「グギャー!」

紅貝の魔王が吠えた。


その直後――。

紅貝の魔王は田んぼへ向かっていく。


「なにっ!?」

コシヒコが振り返る。


紅貝の魔王は、またしてもクリムゾンシェルを撒き始めた。田んぼへ、赤い生物が次々と放たれていく。


「また増やしたのか! くそっ!」

コシヒコは、すぐにアミを振るった。


「そこ!」……一匹。

「こっちだ!」……もう一匹。

さらに別の個体へ走る。


「よし!」

必死に回収していく。


だが――。

取り除く速度よりも。

紅貝の魔王が新たに撒く速度の方が速かった。


「くっ……!」

コシヒコの額に汗が浮かぶ。


捕まえても、また増える。

減らしても、それ以上に増えていく。


少しずつ……少しずつ……。

田んぼに残るクリムゾンシェルの数が増えていった。


そして――。

紅貝の魔王へ流れ込むエネルギーも、さらに大きくなっていく。


コシヒコは考える……。

このままでは、田んぼは守れない。

紅貝の魔王も、ますます強くなってしまう。


コシヒコは、苦笑した。

そして、一瞬だけ手を止める。

「ふっ……これなら……」


田んぼを見つめながら、ぽつりと呟いた。

「全避難しない方が良かったか?」


村人たちは、もうここにはいない。安全な場所へ避難させた。それは間違いなく必要なことだった。


しかし――。

村人全員で動けば……。

クリムゾンシェルを取り除く速度は、もっと速かったかもしれない。


魔法通信端末にコメントが流れる――。

『村の人たち、全員避難しちゃったもんな』

『人手が圧倒的に足りない……』

『コシヒコさん一人じゃ厳しいぞ』


コシヒコは、黙って田んぼを見つめた。

しかし……ふと、顔を上げる……。


「……いや」

何かを思い出したように、目を見開いた。


「まだいるじゃねぇか!」

コシヒコの顔に、笑みが戻る。


「村の仲間がなっ!」

田んぼの向こうを見る。


コシヒコは、力強く笑った。

さっきまでの迷いは、もう消えていた。


「まだ終わっちゃいねぇぞ!」


田んぼを守るために、コシヒコは再び走り出した。

読んでくれてありがとうございます!

この作品は不定期で投稿してます。


※本作の作中に挿入されている画像は、AI生成によるイメージイラストです。

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