原因、忠言、成長。
「……では我はもう行くが何かあるか?」そう言ってユピーは三人を見渡す。その様子を見て声を掛ける。
「……雷轟龍様を暴走せしめた原因かは解りませんが、角に黒い靄の様な物が纏わり着いているのが見えました。その靄は何か霊的な存在であると感じました。魂を使った呪いの様な物かもしれません。」その言葉にユピーは目を見開き、口を開く。
「其れは真か?……ふむ、魂を使用した呪いか。汝は呪い師か?」ユピーの問いに包み隠さず答える。
「私は死霊術師を冠しております。その特性による物かは解りませんが、靄が纏わり着いていたことは確実です。」原理は不明、だが何かが悪さをしていた事は間違いないと断言する。
「……成程、死霊術か。確かにその可能性は有るの。対策を講じなければならんな。汝、名は何という?」 ユピーは目を僅かに細め、問う。
「……私はマコトと申します。以後お見知りおきを雷轟龍様。」丁寧に頭を下げ、名乗りを上げる。その答えにユピーは満足したか、語気に嬉しそうな響きを乗せながら言葉を交える。
「マコトか。覚えたぞ、死霊術師の人間よ。忠言、感謝する。その功績に免じて一つ教えてやろう。」龍が自分の名前を覚えると云う予想外の出来事に、面食らっているとユピーがそのまま続ける。
「特殊なジョブ、汝の死霊術師や加護から派生したジョブが成長するのは知っておるな?」ユピーの言葉に頷きを返す。
「ジョブは成長の過程で本人が望む形に変容する。固有スキルもそれに伴って変化する様になる。同じジョブでも中身は別物になると云う事だ。」初耳だったのかセラも驚きを見せ、集中して聞き入っている。加護を持った事で特殊ジョブに目覚める条件を満たしたのだ、気にならない筈がない。
「強い思いが形に成る。汝等が善良なる心を以って育てる事を信じておる。」言い切るとユピーは少し後ろへ下がり、二枚の大翼を羽搏かせていく。次第に巨体が浮かび上がり、此方を見下ろした。
「……北の大地へ来る事が有れば尋ねるが良い。成長した姿を楽しみにしておるぞ。それではな。」重力を感じさせない程、力強くユピーは飛び立った。大きかった身体がどんどん小さくなってすぐに見えなくなった。
「……緊張したわね。」セラは深く息を吐き、心を落ち着けている様だった。
「また襲ってくるかと思ったわ!でも色々貰えて良かったじゃない!ドラゴンと話すなんて珍しい体験も出来たし、私は満足したわ!」彼女は異世界らしい出来事に少し興奮していた。そんな彼女を窘める様に声を掛ける。
「……僕はすっごく怖かったけどね。生きた心地がしなかったよ。」まだ心臓が強く脈打っているのを感じていると、セラから提案があった。
「貰った荷物の整理もあるし、ここで少し休憩にしましょう。一息入れたいわ。」セラの提案に賛成を示し、荷物をその場に下すのだった。




