出発、回収、相談。
「さて、これからどうしましょうか?」一夜明け充分な休息を取り、彼女が用意した朝食を食べつつ切り出した。
「当初の目的通り王都へ向かうんでしょう?支度が出来たら行きましょうか。」まだ瞼に赤みを残したセラがスープを掬いながら言った。
「セラさん、無理して同行しなくていいんですよ?此処から半日ならエリと二人でも辿り着けます。」セラを気遣い、そう提案する。
「前にも言ったけど途中で仕事は投げ出さないのが、冒険者よ。それに王都に行かなきゃ行けない用事も出来たし気にしないで頂戴。」セラは冒険者としての矜持を曲げるつもりは無い様だった。
「王都に用事ですか?何かお手伝い出来ることは有りますか?」手伝いますよと、セラに申し出る。
「大した用事では無いから大丈夫よ。村の人達がどうしてるか確認するだけよ。帰り道の護衛もね。」自らの指示によって王都へ避難した村人を迎えに行くとセラは言う。
「そう言えばそうでしたね。危機は去ったと伝えなくてはいけませんね。そう云う事でしたら残りの道中ご同行お願いします。セラ教官。」実地講習はまだ続いていたなと思い、セラに頭を下げる。
「……もう。わざとやってるわね?食べ終わったらふざけてないでさっさと支度するわよ。」呆れたようにセラは笑い、いつの間にか食べきっていた朝食の食器を片付け始めた。
「……そういえばエリ、あれは回収できた?」二人で荷物をまとめながら、エリに昨日頼んでいた事を聞く。
「ちゃんと回収できたわよ。どうするかは道中相談しましょ。」エリの言葉に頷き、忘れ物が無いか再度確認した所でセラが台所から戻ってきた。
「二人とも準備は出来た?大丈夫なら出立しましょう。今からなら夕方位には到着するはずよ。」そう言いながらセラは予め準備をしていた装備を取り出し背負った。
死闘を繰り広げた小さな村を発ち早数時間、太陽は中天に差し掛かり僅かに気温が上がる。暑くは無いが、ずっと歩いているとそれでもじんわりと汗ばんでくる。それでも足を止める事無く、王都へ向け歩く。
「……セラさん。ご相談が有るのですが。」そうセラに切り出す。前を歩いていたセラは此方を振り向き、会話に応じる。
「相談?どうしたの?」セラは優しい表情で聞いてくれる。その仕草に此方も安心して話す。
「……これについてなんですが。……エリ。」エリに取り出す様に促し、バッグからそれを受け取る。
「……これって……あれよね?」セラの表情に緊張が走る。
「はい。雷轟龍ユピーの角です。セラさんが折った後その場に刺さっていたのを昨日エリが回収してくれました。」手には一メートル程の角と、大きめに砕けた角の根元の部分が有った。




