鎖、杭、角。
「エリちゃんは鎖で出来るだけ拘束!マコト君は予備動作を見て出来る限り錬金術による妨害!私が隙を見て直接叩くわ!」セラが指示を叫ぶ。与えられた役割を生き残る為に必死に果たす覚悟を決める。
ユピーが首を大きく振り、バキンッと音を立てて角に巻き付いた鎖が弾け飛ぶ。スキル製とは云え、鋼鉄の鎖を、いとも簡単に文字通り千切るのかと驚愕する。
「……じゃあこれならどうかしら!」鎖を容易く切られた事が癪に障ったのか、彼女が声を荒げ集中しユピーに両手を翳す。彼女の周囲から現れた鎖は五本、しかしこれまでの彼女の鎖とは大きく変わっていた。
「……何よ、あれ……?」セラが彼女が新たに出現させた鎖を見て愕然とする。
それもその筈、彼女の生み出した鎖は、大型船舶に使われるアンカーチェーンと見まごう程の太さ、大きさだった。その全てがユピーに向けて動き出し、ユピーが迎撃をしようと前腕を振るが、蛇のように躱し、両腕、両足、首に枷を掛ける。
「……どんなもんよ……切れる物なら切ってみなさい……。」あの大きさの鎖を造るのは想像以上の負荷が掛かるのか、息を荒げ肩で息をしていた。彼女は鼻から流れ出る血を気にする事も無く、それでも尚ユピーに両手を翳し続ける。
「……くっ!マコト君援護!行くわよ!あんなのずっと持つわけないわ!」彼女の姿に、セラが一瞬心配そうな顔を見せるが直ぐにユピーに躍りかかった。接近したセラにユピーは、枷を付けられた右前腕を持ち上げ叩きつける。
枷によって鈍くなった前腕を横っ飛びでセラは回避した。それと同時にユピーから苦悶の叫びが上がる。
「……錬金、鉄杭」前腕が振り下ろされる、その落下地点に鉄製の杭を作り出す。ユピーは杭に自ら腕を打ち付け、杭は腕に刺さりはしたが貫通には至らなかった。
「……マコト君も大概じゃない……。」ユピーの返り血を浴びながらセラは巨体に肉薄する。気合の掛け声と共に、愛剣を一閃。しかし厚い鱗に阻まれ有効打には至らなかった。その結果から追撃は諦め、マコトの元まで一足飛びに退く。
「よくやったわマコト君。私の剣じゃ傷が付けられなかったわ。」セラの言葉に舞い上がる訳でもなく淡々と言葉を返す。
「……今の杭はもう通用するとは思えません。奇襲がうまく行っただけで良しとします。それからセラさん気づいたことが有るんですが。」セラは息を整えながら続きを促す。
「ユピーの角に何か纏わり着いているのが見えます。霊的な気配が有って、あれがユピーに悪影響を齎している可能性が考えられます。」その言葉にセラは拘束を外そうと藻掻いているユピーの角を見やる。
「私には見えないけど、本当なのね?だったらあの角折ってやりましょうか。」頷き今後の方針を固めた時だった。
ユピーを拘束していた鎖が突如消え、彼女が倒れ込むのが見えた。




