村、我が家、雨。
程なくして、村に走り込んだ三人はセラの案内の下、夫婦の住む家に向かった。
村の入り口から木の簡易的な柵で囲まれ、規模は小さいが畑や果樹などが有り、なめし台等も有る事から自給自足がある程度出来ている村なのだろう事が窺えた。
「セラちゃん!帰って来たのかい!」観察を止め声のした方へ目を向けると、中肉中背といった見た目の初老の男性が近づいてきた。
「今戻ってきました。ダンさん、すいません。夫を見ていて貰って……。何かご迷惑掛けませんでしたか?」ダンと云う男性は、セラのご近所さんらしく留守の間、カイルの世話をして貰っていた様だった。……セラは以前カイルの現状を話してくれたが、一人で生活がままならない程なのか……、と考えを巡らせた。
「……セラちゃんが留守の間はカイルはずっと寝ていたよ。下の世話だけは必要だったが……。」セラは深くダンに頭を下げ、何か有れば出来る事は何でもすると、感謝を伝えていた。
「所で、セラちゃん一緒に居る若い二人は……?」ダンは見知らぬ二人組に少し警戒したように此方へ目を向けた。軽く会釈をして挨拶をするとセラから紹介があった。
「この二人は今仕事で同行している冒険者よ。今日は私達の家に泊まるからよろしくね。」そう言ってセラは此方へ目配せをする。合図に頷き、ダンに自己紹介をして彼と別れ、それから村の外れの方へ赴きセラ夫婦の家へ辿り着いた。
「ようこそ我が家へ。」セラが扉を開き、僕と彼女を招き入れてくれる。
勢いの強い雨が降ってきたのは、セラ夫婦の家に入ってから十数分後だった。
「ギリギリ間に合ったわね。エリちゃん凄いわ。」エリの天気予報にセラは一頻り感心し、賞賛を述べる。
「あれくらい簡単よ!見てれば解るわ!」セラの言葉に気を良くしたか、得意気な顔をしていた。ドヤ顔とも言う。
居間に荷物を置くようにセラに言われ、彼女と共に居間の隅に荷物を下した。セラも同じく荷物を下すと、そのまま奥の部屋の扉を開き中へ入って行く。
「……カイル帰ったわよ。あら……起きているとは思わなかったわ、今日は調子が良いのね。」そう言ってセラは此方に手招きして部屋に入る様に促す。
「二人とも紹介するわ。夫のカイルよ。」セラの視線の先、夫である風爆の二つ名を持つ魔法使いはベッドに腰を掛け、窓から見える大粒の雨に虚ろな瞳を向けていた。




