喧噪、剛力、素敵な笑顔。
彼女は倒れ込む男を、清々した笑顔で見下していた。
「……このアマ……。」ダメージがいくらか抜けたのか、男が取り巻きの二人に支えられながら、立ち上がった。
「さっきからそれしか言ってないわよ。顔だけじゃなくて頭も悪いのね!……忘れてた、腕も悪かったわね!」煽りよる……。僕だったら既に泣きながら敗走してる。男は根性は有る様だった。
「……。」しかし、男は彼女の煽りに堪えられなかったか、無言で腰に差した片手斧を抜いた。それに取り巻きも倣う。それを見て、彼女の手を引き、背後に隠して男達と彼女の間に入る。
「獲物を抜いたら此方も加減はしない。……本当にやるか?」淡々と男達に告げると、此方も剣に手を掛ける。お互いに次の行動が引き金になると感じ、じりじりと緊張感が高まっていく。
「はいはい。そこまでにしなさい。」瞬間、男の片手斧と、剣に掛けた手を抑えられた。咄嗟に力を入れたがピクリとも動かない。男も同じ様だった。
「ほら、無駄な事しない。良いから納めなさい。こんな所で殺し合いやるつもり?」気配も無く接近した、声の主を確認しようと視線を向けると、一人のエルフ族と思しき女性が、双方の武器を掴んでいた。
手から力を抜き、エルフの女性の指示に従う。争っても今の僕じゃ、太刀打ち出来そうも無いな、と無抵抗を示す。
男達を見やると、皆現れた女性を見て青ざめていた。
「はい、よろしい。ギルドの中で見てたけど、新人に酔って絡むのは頂けないわね。まして女の子相手に先に手を上げたのは非常に不愉快だったわ。」女性は三人に向き直り、少し威圧感を乗せた声で窘めた。
男達はその威圧感に借りてきた猫の様に固まり、震えていた。
「じゃあ罰として、ギルドで街道近くの森のゴブリン討伐でも受けておいでなさい。出来ないとは言わせないわ、最低達成数の五倍はこなして来なさい。……行けっ!」そう一喝されると男達は、ギルドの受付へ戻り依頼を受けると、急ぎ足でその場から遠ざかって行った。
此方にはどんな罰が来るかと身構えていると、先程とは打って変わって、落ち着いた声音で話しかけられた。
「あの馬鹿共が、ごめんなさいね。初めての事で怖かったでしょう。」……貴女の方が怖いです、なんて口が裂けても言えなかった。
「貴女、とても綺麗ね!それにすごく強いわ!私はエリよ、よろしく!」珍しく自ら名乗り、彼女の美的センサーに適ったのか、手放しで褒めちぎっていた。
「私はマコトと言います。助けて頂きありがとうございました。」彼女の言葉に合わせて名乗り感謝を伝える。
「エリちゃんに、マコト君ね。そんなに畏まらなくていいわよ。」そう言って女性は名乗りを上げた。
「初めまして。私は“セラ”、見ての通りのエルフ族よ。よろしくね。」セラは先程の威圧感など微塵も感じさせない素敵な笑顔を見せた。




