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彼女の隣で、僕は眠る  作者: 粗川燕(あらかわつばめ)
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テンプレ、侮辱、カウンター。


 「とても助かりました。親切にして頂いて、ありがとうございます。それでは。」受付嬢に心よりの感謝を伝えると、慌てたように受付嬢が呼び止める。

 「あのっ!初めての冒険者登録の人には、教官随伴で実地による初心者講習なども行っているんですが、どうですか?丁度、教官もいらっしゃるので直ぐに受講できますが……。」そう言って受付嬢はまた周囲の男達に一瞬だけ目を向ける。……なるほど、そう云う事か。その仕草に此方への気遣いを感じる。この街は優しい人が多いなと考えながら、言葉を返す。

 「折角のご厚意ですが、先を急ぐ身の為、遠慮しておきます。」丁重にお断りをすると、そうですか。くれぐれも気を付けてくださいね!と、心配そうな面持ちで見送られた。



 受付から離れ、入口に足を向けると、背後で数人が動く気配を感じた。

 「はぁ……。テンプレだなぁ。」ため息をつき、この後の展開が手に取る様に解ると、先程の考えを撤回しようかと思った。

 そのまま入口から一歩足を出した瞬間に肩に手を置かれる。

 「おい。ちょっと面貸せや。」ほら来た、と予想が出来ていた為、脅える事も無く振り返ると。酒場で呑んでたであろう三人組が、赤ら顔で此方をニヤニヤと見ていた。

 「何の御用でしょうか?」初対面の相手には、どんな人間であろうと、先ずは丁寧に接すると決めているので、落ち着き払った声音で応える。


 「お前には用はねぇ。用があんのはそっちの別嬪さんだ。嬢ちゃん、こっちで酌でもしてくれよ。しっかり楽しませてやるからよ。」三人の中で一番大柄な男が前に出てきた。ここまでは完全に読み通りだったが、現実として起こると腹が立つな。どうしたもんかと考えていると、隣から声が上がる。


 「……酌?この私に言っているの?なんであんたみたいな、不細工の相手なんかしないといけないのよ。マコト行きましょ。」彼女は鰾膠も無く言うと、心底興味が無いといった様子で、僕の手を引いた。


 「……なんだと?このアマ、少し顔が良いからって粋がりやがって。躾がなってねぇな。一発貰わなきゃ分からねぇか?俺が調教し直してやるよ!」彼女にあしらわれた男が、拳を振りかぶる。その瞬間、眼前に閃光が瞬いた。

 「ふぐっ!」振りかぶった拳は突き出される事は無く。その拳より圧倒的に早く、彼女の右手が男の顔面を打ち抜いていた。……彼女は短気だった。


 打ち倒された男は、鼻の骨が折れたのか、ボタボタと落ちる鼻血の上から鼻を押さえ、此方を睨んでいた。

 「不細工な上に、弱いと来てる……。どうしようもないわね!」彼女は殴ってすっきりしたのか、倒れている男に清々した笑みを向けていた。

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