学問、尊敬、魂
「錬金術とは何か?ですか……」ソーマは問いに対し、少し考え答える。
「私も、偉大な錬金術師等と持て囃されたりはしましたが、極致に辿り着く前に斃れてしまったので、偉そうなことはあまり言えないのですが……。」錬金術の最高権威であっただろう者の謙虚さに、尊敬の念を強めつつ答えを待つ。
「錬金術とは、物質を変質させ理を歪める力であり、そして人々をより豊かにする学問。そう私は信じております。」そう答えるソーマは自分の追い求めた道が、如何に誇らしいかを示すように胸を張った。
「素晴らしい御考えです。ソーマ先生。」自然と尊敬が口から出た。人々があのように弔った理由をしかと理解できた。
「先生はやめてください。そんな大層な者では御座いませんので。」ソーマは尚も謙虚であった。
「それで貴殿はどのような職業を?私を目視できるということは、特殊職、もしくはスキルをお持ちとお見受けしますが。」ソーマの問いに、嘘偽りなく答える。
「私のジョブは死霊術師を冠しております。」それを聞いたソーマは身を乗り出し、興奮したように捲し立てる。
「死霊術師!詳しくお聞かせ願いたい!」鼻息を荒くするソーマに理由を尋ねる。
「私の生前最後の研究なのですよ!魂が!」それは是非とも意見交換せねばなるまいと、居住まいを正した。
「生前、私の研究は錬金術によって魂を消滅、もしくは変質、それに準ずる変化を齎す方法を探していました。」ソーマは真剣な表情で話す。
「錬金術とは、ある物質を別の物質に組み替える事が基本です。又は、物質はそのままに形状を変える事も入ります。例えば水を沸騰させて湯気にする。これも一つの錬金術と言えます。」その説明に、研究畑な自分は一つも逃さないように聞き入る。
「では魂とは何か?目に見えぬ、質量を持たぬ物質。そんなものは無いと人々は言うが、人が死ぬと僅かだが身体が軽くなる。レイスや、スケルトン、リッチなど死霊系魔物など当たり前にいる。なのに魂が無いなどと言える訳がない。」ソーマは段々熱くなりつつも続ける。
「死霊術師を冠している貴殿が私の前に現れた。魂が在る事の証明だ。」生前に出会っていればと、ソーマは臍を噛む。
「そして何よりも、この国で悪事を企んでいる奴がいる。」
ソーマは絶対の確信をもって断言をした。




