死、忘却、選択肢。
【君死んじゃったんだよ。】そう自称神様は言った。薄々そうじゃないかと思ってはいたが、少なからず動揺している気持ちを落ち着けるために深く息を吐く。
【正しくは死ぬのが確定したって事なんだけど、死ぬ前に僕が保護したってわけ。結果としては一緒だけどね。】動揺している自分に何のフォローにもなってない台詞を言い、続けてこう言った。
【君には二つ選択肢がある。一つはこのまま人としての生を終える。もう一つはこの世界、君たちから言えば異世界である、この世界“ザルクィエム”で物語の続きを紡ぐことの二つだよ。】そんなもの選択肢になっていないと思ったが、口に出すことは堪え、更に質問することにした。
「私はどうやって死んだんですか?」そう問いかけた。
【あれ?覚えてないの?少し派手だったから影響が出ているのかな?】こちらの反応を窺うように呟いた。派手だとか何のことか判らなかったが、意識を失う前に轟音と閃光を感じた様な気がするが、思考に靄がかかったように思い出せない。何か大事なことを忘れている恐怖を感じ僅かに身震いする。
【爆発したんだよ。何をしたんだかわからないけれど、君がいた家を丸ごと吹き飛ばすほどの爆発さ。】それを聞いて一瞬の間を空けて脳裏に過ぎる綺麗な彼女の安らかな寝顔。一気に意識が覚醒し自称神様に詰め寄る。
「彼女はっ!?あそこに一緒に居たはず!」相手が神様であることを忘れ語気を荒げ問い詰める。
【当然一緒に吹き飛んだよ?】そう軽いトーンで言った。目の前が真っ白になった。自分が死んだことより彼女が居なくなった事に絶望し膝から崩れ落ちる。
【落ち着きなよ】落ち着けるかと言い返そうと思ったがそれを口にすることすらできない。視界が明滅している。
【君と一緒に居た彼女は生きているよ。この世界でね。それに彼女とは、そんなに時間も掛からず出会えると思うよ。】絶望していた心に福音が響いた気がした。
「本当に……?」どうか無事であって欲しいと縋る様な思いで問う。
【僕は必要じゃない嘘はつかないから安心していいよ。信用できないかもしれないけどね。】それを聞き自分の身体に活力が戻り、心なしか先程までの身体の鈍さが軽くなった様な気がした。
【それでどうする?このまま死ぬかい?この世界で生きるかい?】神は問う。
「そんなの選択肢になっていない」そう瞳に光を灯し、先ほど口に出来なかったことを宣言するのであった。




