期待、閃光、自称神。
初めまして粗川燕と申します。 人生で初めての小説という物を書いてみました。拙い駄文では有りますが、読んでいただけたら幸いです。よろしくお願いします。
「風邪でもひいたかな?」
少し倦怠感を感じたある日、慣れない仕事を終えカーテンを閉め切った薄暗い家の中で、酷く神経を使う作業から解放されたことによる興奮を落ち着ける様に、ふーっと深く息を吐きだした。
風邪薬と睡眠導入剤を飲み、すでに眠りについているだろう彼女を起こさないように、あるいは起きてくれないかと淡い期待をしながら、扉をそっと開け横たわる彼女の隣に向かい合わせで横になる。
横になり眠る彼女の綺麗な横顔を眺めていると少し寒いが疲れもあり薬が効いてきたのか心地よい眠気がやってきた。
腕につけたウェアラブルデバイスで忘れずにタイマーをセットし、もう一度彼女を見てから目を閉じる。
視界が無くなると、わずかに家の外からパトカーのサイレンの様な音が聞こえ、規則的な音に、耳を傾けている内に睡魔が襲ってきて、最後に轟音と、閉じた瞼を焼く様な閃光と共に意識を手放した。
瞼を開けると目の前は辺り一面に百合の咲く場所だった。
「夢?」
花畑に一人寝ていた自分は寝ぼけているのかと思いながら、自らの意思とは裏腹に反応がやや鈍い身体を起こし立ち上がる。
キョロキョロと辺りを観察するも、自分の肉体と百合の花以外のものは見えず、どこまで続いているのかもわからない。
何分くらい観察していただろうか、綺麗ではあるが一面の白に辟易していると不意に後ろから声が聞こえた。
【やぁ】それはいつの間にか気配もなくそこに現れた、この花園には不釣り合いな、影の様な黒い人型の“何か”だった。
【すまない。驚かせてしまったね。決して危害を加えるつもりはないから安心してほしい。】驚きつつ警戒する自分に、現れた“何か”は落ち着いた声音で話しかけてきた。
「あなたは?此処は一体……?」危機感は感じなかったが最低限の警戒はしつつ、問いかける。
【まずは最初の質問に答えようか。僕は君たちの言うところの神様ってやつかな?今のところだけどね。】“何か”は自らが神であると説明し、そんな存在が本当にいたのかと思いつつも大人しく話を聞くことにした。
【二つ目の質問については、此処は君たちが暮らしていた世界とは違う異世界だよ。その異世界でも特殊な場所ってとこかな?】その話を聞き、ギリシャ神話の楽園とは此処のことだったのかもと、そんな益体もないことを考えていた。
「それでどうして私は此処に?英雄はおろか神様達に愛された実感もないんですけど。」自称とはいえ神様相手に話しかけていいのかもわからなかったが、埒が明かないので直截に聞くことにした。
【まぁそんな畏まることはないよ。もっと気楽にしてほしいかな?なんでここに来たかってことなんだけど、はっきり言っちゃうと君死んじゃったんだよ。】それは薄々そうじゃないかと思ってはいたが、考えない様にしていた事だった。




