第九十七話
光の方とは逆行していくほど、攻撃の手は増えてきている。
それにさっきまで飛んできていた攻撃とは別のものへと変わってきているものもある。
逆光。
なんか音の響きと意味が良くてダークヒーローとして名誉ではなく己の欲望のために動いている感じもあり憧れを思う。
「やっぱりこっちには何かがあるっていうことは確実だよね。普通空間に閉じ込めたのなら確実に仕留めの仕掛けをしているのが常識だからね。」
昔、私たちと敵対していた不良グループが社会的に良くないものを親のコネだか何だかで入手していた廃ビルがあった。
そこはグループの本拠地ではないもののよくそこを盗難車が出入りしているという情報が入ると同時にグループの1人がその周辺で襲われた。
すぐさまその敵拠点へ攻め込みにいくと普段以上の戦力を用意して待ち構えていたことがある。
大切なものがあるほどそれが露見しないように行動してくる。
ばれさえしなければ問題がないというものであるらしい。
「あの後、私たちがあれを確保したと同時に警察が突入してきて色々と面倒だったな。今はあの時と同じ状況で攻撃の手が増えているのは開発者が用意したヒントだよな。」
ナイフや炎、雷だけでなく飛ぶ斬撃や刺突、あげくのはてにはルイスが作成したような液体の入った瓶やデフォルメされた熊?のようなぬいぐるみも飛んでくる。
スキルなども使用せず投擲されたものだからか山なりの軌道でゆっくり飛来する。
速度もタイミングもバラバラとした攻撃に最初はこちらのリズムを崩されて本当にギリギリで避けることしか出来なかったが、徐々に慣れてきた。
「このまま真っすぐと進んでは見てるけど一向に隠しているものが見えてこない。本当にさっさと脱出しやがれみたいなギミックだった落ちだったら嫌だな。」
そもそも何かがあるにしてもどこにあるのかもわからないのでここのまま走っていくことが正解なのかもわからない。
その場で止まり、右に左にやってくる攻撃も足を後ろに少しスライドするだけで半身をそらして躱すと同時に死角となる範囲から攻撃を確認して次の回避行動を考える。
光が螺旋を描きつつ飛来する炎を生み出す。
上空で弾けた光が雷となり、まるで意志を持つかのように何度も折れ曲がり、鋭い角度で降り注いでくる。
雷の尾は空を切り裂きジグザグには跳ね距離を詰めてくるのだが、規則性のある動き。
雷が当たる直前に曲がっていく方向と反対へと進むことですり抜けるかのように当たらない。
調子が乗り始めたようだ。
ゾーンに入れば観察眼もよくなる。
「やっぱりここの辺りまで来てから攻撃の頻度や種類は打ち止めのような感じ。これ以上進んでも何もないと思うってことは今見えていないだけで何か....」
度々視界の端で光が映っては攻撃と同時に消え、映っては攻撃と同時に消えを繰り返している。
視界に映っているのは数秒あるかないか。
「...あれって目玉じゃない?気持ちわる...」
スキルごしでようやく確認できたが某金属製の流動体のように即消えてしまう存在は光る目玉だ。
そいつはこちらが見ていることに気が付いたらしくこちらを凝視して動かず静止した。
その間しばらく攻撃が止んでいた。
脱兎のごとく目玉はとんずらこいて逃げ去っていく。
「大事に隠されていたのはお前か――逃がすわけないだろうがよ!!」
叫ぶと同時に漆黒の地を蹴り、そのあとを追いかける。




