第九十六話
目を開けると小さな霧の塊がいくつも漂い、真っ白な足場に立っていた。
それ以外は真っ黒な空に少し遠くで輝く四角い何か。
真っ黒な雲に掴まれたと思ったが、まだ私は生きているらしい。
「ここはあの鏡の中ってことか?」
隣には同じく雲に掴まれたハルもいる。
お互いに即死技かと思った雲に掴まれて、おそらくだがあの神鏡の中にある世界に連れ込まれたのだろう。
だけどただ連れ込むようなことをユニークモンスターがするわけない。
攻撃が来るとは思うが今のところ何もないので今のうちに周囲を確認しておくべきだ。
「前方には霧の塊がいくつも散乱?していてその奥に何か輝くものがある。道も真白に続いていて、背後は道が途切れ途切れだけど暗闇で奥に続いているのね。」
「おそらくだけど、前に光っているあれがこの世界から出るための何かだと思う。それかこの世界に入り込んだ時点で死ぬまで出ることが出来ないかもしれないな。」
「それだとかなり恐ろしいよね。死ぬまで出れないって自死するかあのモンスターがこっちに攻撃してくるのを技と受けて死んですぐに戻る必要が出てくるね。」
冗談で適当なことを言っているけど、ここに来てから数歩程度しか動いていないし10数秒は経っている。
これはあの出口っぽいところに向えば何か仕掛けが発動するのではないだろうか?
そう思っているとハルは出口に向かって走り出したところ
「あ!?ナイフだと!!??」
霧の塊から私が先程投擲したナイフと全く同じように見えるものが複数本飛び出してきた。
それがきっかけになったのか漂う霧の塊たちが次々と脈動する心臓のように動き始めた。
「あっちのやつは静電気のようなバチバチ音立ててるし、こっちのは火花が散っているわ。」
「もしかしてだけど雷とか炎とかがこっちに向って放たれるってことだよな。しかも、今見えている無数の霧全てからなのか?」
言葉にしたことがスタートの合図だったようだ。
続々と霧から攻撃を受け続けて避けることに集中することになった。
まるで天変地異のように上空からは轟雷が降り、横からは土でできた槍やかまいたちで薙ぎ払うかのように迫り、地面からはマグマのような炎が湧き出る。
私はそれらの攻撃をなんとか紙一重で避け続けていけていて、ハルは先ほどと同じように避けれない攻撃は受けるものを選別して進み続けている。
言葉にしなくても私たちは目の前で光る出口に向かって進み続ける。
だけど、このままでいいのか?と頭の奥底で疑問を問いかけられる。
「ある程度技術や装備があれば十分に耐えることができる。しかも出口をわざわざ見えるところに配置となると確かに警告がでてくるよね。」
ハルは突然独り言を言いだす私を一瞥するがすぐさま迫りくる攻撃に意識を切り替える。
普通ならこんな空間に閉じ込めたら出口なんとものはどこかに隠すに決まっているし、こちらを即死させるような攻撃のオンパレードになるのがお決まりかと思っていた。
だけど、そんなことはない。
今霧の中から出ている攻撃は私のナイフを吸収したものと同じだった。
思ったのはこれらの攻撃は全てあの神鏡が今まで吸収した攻撃だけなのではないだろうか?
物量で押せばいいのにハルの足を確実に止めた光線を次々と放てば出口に辿り着くまえに削れる可能性が高いのにだ。
あとは出口に近くなればなるほど攻撃の手が緩んでいる気がする。
確実に攻撃を当てるように正確性が増しているような。
「下手なゲームマスターが罠がある方や、大切なものから遠ざかっていている方向へ気持ちよく誘導しているのか、それなら反対には嫌なものがあるのでは?」
急ブレーキを踏みつつ上空の雷はナイフを当てることでこちらに届かせない。
そして、出口とは逆方向の地獄へと思いっきり走り出すことにした。
「おい!そっちは出口じゃないぞ!どこに行くんだって!?」
「ごめん!あっちに何かある気がするから外のルイスのこと頼んだよ!」
「っ馬鹿!!あぁもうわかったよ。それならしっかり何かを見つけてこいよ。こっちは俺に任せておけよ。」




