第百話
神鏡さんのお言葉
「要約:なぜお前は創造神の定める攻略ルートを逸れて我が半身を破壊しえたのか許し難い存在め、我が最終形態で一思いに、殺してやる」
悲鳴を上げ続ける鏡は小さな鏡の他に私がさっきまでいた世界で垂れ流されていた流動体の鏡の湖が嘔吐物のようにやつから垂れ流されている。
それは足元が砂漠の砂というのに吸収されず先程と同じように足元に展開されていく。
「2人ともあの液体のようなやつは踏んでも大丈夫だけど、触手のように動き始めるから注意して。すっごい脆いけどあの液体が湖のように広がった分だけ生成されるほど数が多いから避けるよりは迎撃した方が楽かも」
「触手?鏡の触手ってなんか触れられたくもないな。で、あっちでそういった行動をしたのを見たんだよな?ならあの攻撃をキャンセルするためにはどうすればいいか知ってるだろ」
ハルからすかさず返事が来たが、弱点と言われても今のところ目玉は見当たらない。
おそらくだけどこの行動は攻撃ではなく、次の段階に移るために行っていること。
「あっちで弱点はむき出しの目玉だったけど、今はそれがない。ということは少しの間は小さい鏡と地面の鏡に注意ってことだけだね」
「ですが今あの本体に攻撃するチャンスではないかと思いますぞ。特殊モーション中ですが、多少なれどダメージを与えることができるかもしれませんぞ」
ルイスの言う通り今は本体に少しでも攻撃しておくことが得策かもしれないが、触手が無数に生えてくる鏡の中を進んでまでは行きたくはない。
今はまだ触手は生えていないがそれらが生えて動き始めるとこっちに戻ってきたときに切れた集中力を取り戻さないと今度ばかりは袋叩きにされてしまう。
どうしようかと悩んでいると、
「…ルャウテシロコニモトヒデ…
…ルャルテシロコニイモトヒデ…
…ガワメザイショ…ガワメザ…
…カタエシハンガワ…レタエシハカイハ…
…ルートガイリクコ…サデノシンゾウソウ…
…ナザエナ……」
突然神鏡は何語かわからない言葉をしゃべり始めた。
さっきから疑問だったのだがどこから声を出しているのだろうか?
本当は古の亡霊が取り付いた鏡ではなくてスピーカーみたいなものでも内臓された機械だったという落ちだったりして。
鏡はより領域を拡大をしていきあたり一帯、遺跡に被るか被らないかぐらいの野球場ほどの広さのあたりで停止。
一呼吸を置いた静寂の直後、乱反射する湖は手を型取り無数ともいえる数を生み出して私だけに襲い掛かってきた。
なんで!?と叫ぶ暇すら与えてくれず一斉に拳を握った鏡が四方から迫ってくる。
急に命の危機を感じたのかスキルが自動で発動した。
『生存本能 弐式』
元々は状態異常による行動阻害を一時的に軽減するものなのだが、弐式に進化した生存本能は行動阻害となる状態・環境時に致命傷を負う確率の高い攻撃を仕掛けられると回避行動に補正が入るという万能ものとなった。
名前の通り生存することに特化したスキルなのだが自動発動なので意図的に発生させることは難しい。
だが、このスキルが発動するということはかなり危険な状況であるということだ。
「よし、我らがリーダーがヘイトを買ってくれるとのことだ。自身の命を犠牲にしても部下を守るその行動無駄にはしません。ルイス君、我々で隊長の敵を取りましょう」
「ハル殿、リーダーなのか隊長なのかどちらかに統一してほしいですぞ。あと、この状況が面白いからと冗談なんて後が怖くて拙者は言えないですぞ」
あとでハルはしばく。ルイスもついでに。
先程のまでのように簡単に壊れそうではあるが地面や他の拳にぶつかったりしても砕けたりどころか欠けることもないこの拳たちに眉をひそめてしまう。
試しにサマーソルトキックのような形で回避が難しい拳の付け根当たりを蹴り飛ばしてみるといとも簡単に砕け散った。
納得いかない結果だ。
「なるほどね。行動に対して自分自身を傷つける行為にはダメージ判定はなくて、プレイヤーからの攻撃には脆いと。納得しないけど納得したよ!」
長々と戦っているからか徐々に怒りが溜まってきていてそろそろ頂点に達してきている。
神鏡を睨みつけると黒く濁った鏡の表面にはうっすらと血走った目をした顔がホラー映画の亡霊のように映っていた。
気持ちわる...




