第百一話
「ハル!ルイス!やつの弱点が露見した。神鏡本体に血走った眼玉が出てきてる。私が仕方なく敵の攻撃を引き付けておくからさっさと攻撃しろ!」
鏡の拳たちは鏡の湖の至る所から生え続けては私にしか目をくれず拳を握りしめ襲い掛かってくる。
一見むやみやたらに生えた瞬間から攻撃を仕掛けているように思えるのだが、この攻撃は一定のリズムのようなものがあり僅かな隙があるため、スキル込みで何とか避けれる。
血走った眼には私だけを映しているかのように攻撃を避けるため動き続けている私に合わせて右往左往と動き続けている。
攻撃は目が血走ってからは増えていないので、攻撃パターンはこれで打ち切りだろう。
私もこの攻撃を引き付けておくのはいいのだがあと少しでもすれば集中力も切れて袋叩きにされてしまうだろう。
2人があいつを仕留めてくれるのが先か、私の集中力が切れるのが先か、私がどうにかあいつに近づいて仕留めるのかが先かの3択になる。
この中で一番奴の元へと辿り着く可能性が高いのはハルであるのだが彼はまだレベルが低く装備も私より2段階ぐらい劣るはず。
つまりは敵に接近しても私が倒れるより前に倒すだけの火力は出ない可能性はある。
「私が一番火力を出せるから行ければいいけど無理っぽい。ハルに期待するしかないのか...不安しかないよ...」
ハルはガントレットを武器にしており、それは遠距離攻撃スキルの有無は皆無とファンタジーゲームとしてもかなりピーキーな武器種と聞いている。
そのため使用者は職種で簡単ではあるが遠距離攻撃ともいえる補助スキルを獲得できるものとするのが一般的という。
そんな彼は神鏡へ疾走をしているところに詠唱を始めた。
「リーダーとの再戦のためだったけど、浮いてて届きづらいから使うしかないか」
ガントレット同士を打ち付けることで、間に紋章が現れる。
『縁は結ばれた
この紋章は汝と我を結びつける道を生み出す鎖となる
鎖は我を縛らず、汝を縛る
鎖は我を導き、汝を阻害する
これは縁を繋ぎ、邪を束縛する英傑なる鎖
《縁縛鎖》』
紋章は詠唱が完了すると編み込まれた髪のような形状へと変貌し、彼のガントレットと繋がった。
さらに、ガントレットから鎖は放たれ細い光の筋となって空気を裂きながら一直線に敵に走る。
鎖は神鏡の枠縁に吸い込まれるように当たると鉤爪のように変貌し、しっかりと食い込んだ。
「こいつはただの鎖じゃない。俺の意志に反応して伸ばしたり縮めたりすることが出来る。こんな風にな」
ハルが拳を思いっきり後ろへと退くと鎖も連動するかのように縮み神鏡は彼の元へと強引に引き寄せられていく。
血走った眼には急な引き寄せに驚きを隠せないでいる。
格下と思っているやつは何もできないと思っているだけでなく、なぜか知らないが怒りで私だけに注目しているからだ。
そして、もう一人影の薄い奴を忘れてもらっては困る。
「拙者は爆弾を作ることがメインではないですが今回はサポートメインなので仕方なく使わせていただきますぞ!サイレント殿」
ルイスはいつの間にか私の方へと接近してきており、薬品の入った瓶を大量に私の方へとばら撒く。
声をかけられたことですかさず唯一瓶が撒かれていない領域へと素早く逃げ込むと同時、瓶は破壊され大爆発を起こした。
巻き込まれた鏡の拳たちは一斉に爆散していく。
気力が...季節の変わり目ってだるいよね




