第10話
いざ、決戦の時!!
ガニス率いる蛮族達と交戦する藍染達。
フリングは頭目たるガニスと剣を交え、サイカと犬獣人の女剣士は他の蛮族らと交戦していた。
しかし、藍染は……。
「ちょっと待て待て待て待て待て!!!」
蛮族達から逃げ回りながら拳銃で抗戦するが、数の暴力に苦戦していた。
「こっち来んなバカたれ……いっ!?」
撃ちまくっていてら、あっという間に弾切れになった。
急いで弾倉を取り換える藍染。
その間にも蛮族達が襲いかかってくる。
「うお!? いっ!? 危ねぇ!!」
間一髪で回避しまくる藍染。
そして弾倉を取り換えた藍染。
だが……。
「(やばい……これが最後の一本……)」
今取り換えたのが最後の弾倉であった。
その時、蛮族達が飛びかかってきた。
「なんてこったい!?」
そんな時。
藍染に襲いかかってきた蛮族をサイカと犬獣人の女剣士が薙ぎ払った。
「まったく、見てられんな。よくそれで前線に立てたものだ」
「大丈夫か、アイゼン」
「な、なんとか……」
藍染は態勢を立て直し、銃を構える。
「まだこんなにいやがる……」
「……任せろ」
サイカが前に出ると、剣を構え、黒いオーラを纏わせた。
「ハァァァァァァァァァ………」
それと同時に彼女の背中から黒い翼が生えた。
そして……。
「【ブラック・スラッシュ】!!!」
サイカは大きな声と共に剣を横に薙ぎ払い、黒い斬撃を放った。
あの時、藍染が初めて見た時よりかなり強力だった。
強大な黒い斬撃は蛮族達を全て消し去った……。
「なんて力だ……」
「なんてこったい……」
それを見た二人は唖然とした。
「ふぅ……」
サイカは息を吹かせ、剣を肩に携える。
「あの時よりやべえ……」
「いつもよりさらに力を込めたからな」
「なるほど、それで翼も生えたわけか」
「おっと、いけない」
サイカは翼を散らし消した。
「これで全滅したか?」
獣人の女剣士が気配を探りながら問う。
「これで生きている奴がいたら賞賛を送りたいものだな」
サイカは鼻で笑いながらそう答える。
「おお、怖」
それに対して藍染は苦笑した。
一方、エミエル達は。
「なんだ、今のあれは!?」
蛮族達と交戦していたアークスはサイカの放った技に驚いていた。
「随分強大な……魔力! でしたわねぇ」
デミスはそう言いながら蛮族の頭を手斧でかち割る。
「恐らくあの女騎士の力だろう。中々のものじゃな。してレミル。先走ったアホ共の容体は?」
エミルコは銃剣付きライフルを構えながら、レミルに問う。
天使たるレミルは聖術で回復魔法も扱える。
「命に別状はないし、大したこともない」
レミルはそう答え、治療した冒険者に問う。
「うう……すまねえ。大丈夫だ……」
「面目ないです……」
治療された冒険者達はレミルやエミエル達に感謝した。
彼らはあの獣人の女剣士達のチームより少し遅れて先行した冒険者で、蛮族の群れに苦戦していた所を偶然エミエル達に助け出され、今に至る。
助け出された冒険者は全部で十人の二チーム分。
遅れて先行した二チームは、最初は二手に分かれたがすぐに再会し、そこで蛮族の群れに襲われ、共闘。
数の暴力に劣勢を強いられたところにエミエル達が現れ、助け出されたのであった。
「これで……最後!!」
エミエルはショットガンの引き金を引き、蛮族を吹っ飛ばした。
エミエルが倒したのを最後に蛮族達は全滅したようであった。
「これで大丈夫ですよね……」
ラムネアは辺りを見回す。
「……よし、大丈夫だな」
同じように見回すアークス。
「では諸君。フリング達の所へ向かおうではないか」
「そうですね。やっぱり三人だけだと藍染君が心配だし」
「大丈夫じゃろ。あの二人がおるし。とりあえず行こうかの」
流石に藍染のことが少し心配になってきたエミエルだが、エミルコは呑気にそう言って、全員移動し始める。
エミエル達はサイカが放った魔力の方へ向かうと藍染達を見つける。
「おーい!!」
ルミエル達は藍染達を見つけ、なんとか合流した。
「大丈夫だった、藍染君」
「ああ、なんとかな……」
エミエルの問いに藍染は苦笑しながら答えた。
「ひゅ~♪ 随分ド派手にやったわねぇ」
サイカの大技の跡を見て口笛を鳴らすデミス。
「それにしても、ものすごぉい魔力を感じるわねぇ。サキュバスにしては随分なお力で」
「サキュバスにしては余計だ」
デミスの言葉にサイカは不快そうに返す。
「それにしても、ものすごい力ですね……。魔帝國の暗黒騎士隊にも引けを取らないほどですよ」
ラムネアはそう言いながら眼鏡をクイっと上げる。
「おい、フリングはどうした?」
リュヴィエルが藍染達に問う。
「そういえば今、奴らのボスと戦っているな」
「ならばさっさと行くぞ」
藍染達はすぐにフリングのもとへ向かった。
一方でフリングは今もなお、ガニスと交戦していた。
「……さっきのあれ。君のお仲間さん全滅したんじゃないの?」
「……まだ森の外の連中が残ってるぜ」
「残念だけどあいつらも全滅だよ。君は中立都市の連中を甘く見すぎたようだな」
「……そうかよ!」
ガニスはそう言うと、フリングと距離を取る。
「いいぜ、あの都市はもう諦めてやるさ。代わりに……」
ガニスは一呼吸空けると凶悪な笑みを浮かべてこう言った。
「てめえをブッ殺してから、他の連中も俺が死ぬまで一人でも多くブッ殺してやる!!」
「一人でも多くを道ずれか……させるかよ」
フリングは不敵な笑みを浮かべながら剣を強く握る。
その時だった。
「いた!!」
藍染達が駆けつけてきた。
「おや、皆さんご無事で。こっちはもう少しかかりそうですか……な!」
フリングはガニスと再び剣を交える。
ものすごい剣戟で互角に見えていた。
だが。
「なんじゃ、まだ片付いておらんかったか」
突然、エミルコが前に出る。
「いつまで遊んでいるんじゃ? さっさと斬り捨ててしまえばいいものの」
「おいおいエミルコさん。せっかくの敵将との大激戦の雰囲気を醸し出してたのに」
エミルコの言葉にフリングは不敵な笑みを浮かべながら返す。
「ああ!? てめえ、手を抜いてたわけか!! バカにしやがってクソ野郎が!!」
切れたガニスが突然蹴り上げてきた。
その強い蹴りで土が飛び、フリングの顔にかかった。
「おま、汚ねぇ――」
「うおらぁ!!」
ガニスは一瞬の隙をつき、フリングの剣を弾き飛ばした。
その勢いに煽られ、フリングはしりもちをついた。
「くたばりやがれ!!」
ガニスはフリングにめがけて思いっきり剣を振り上げた。
藍染は慌てて銃を構え、サイカと獣人の女剣士が前に出ようとした。
ズダァァァァァァン!!
突如、銃声が鳴り響いた。
藍染はまだ発砲していなかった。
撃ったのは……。
「ゴフッ!? て、てめえ…………」
フリングだった。
彼の手に持っているのは大型拳銃デザートイーグルだった。
フリングがあの銃をどこから取り出したのか藍染はわからなかった。
デザートイーグルから放たれた50口径弾はガニスの傷だらけの鎧を貫き、右胸から血が流れ、口からも血を吐き出すガニス。
「くたばるのは君の方だったね」
フリングは立ち上がり銃口をガニスの額に向ける。
「~~~~~!!」
「アディオス」
「く……クソ野郎ガァァァァァァァ――」
ズダァァァァァァン!!
ガニスはフリングに襲いかかるも、フリングはそのまま引き金を引き、放たれた銃弾はガニスの頭を吹っ飛ばした。
「(うお……プレ○○時代のホラーゲームで見たことある頭部破壊がリアルで……エグイな)」
と、そんな場面を見てもまったく吐く様子もない藍染であった。
「(普通なら吐く場面でしょ)」
エミエルの念話が藍染の頭に響く。
「バ〇オのやりすぎかな?」
一人呟くように返す藍染。
「(うわ、まじですかぁ……)」
ちょっと引いてしまうエミエルであった。
「よし、これで……フッ! ボス撃破だ」
フリングがそう言うと銃口の硝煙をフッと息を吹いた。
その言葉に藍染やルミエル達は歓喜の声を上げた。
「やったぜーー!!」
「うおーーー!!」
「いえーい!!」
さらにフリングの小型インカムから中立都市にいるエリオットから連絡が入る。
『フリングさん。エーレイルさん達防衛チームも敵の殲滅し、戦闘終了。今、皆さんで勝ち鬨を上げています』
それを聞いてフリングは小型マイクに触れる。
「こっちも敵の頭を撃破。他の敵もほぼ殲滅しましたよ。被害は?」
『負傷者は少数ほどいますが、フラメイアさんや後方支援部隊の迅速の治療によってゼロ同然です。都市の被害もありません。そちらは?』
「24人中、冒険者4人ロスト。まあ、よく生き残ってたほうですね」
『……あなたが目をつけてる人は?』
「生きてますよ。なんとかね」
『それはなによりで』
「さて、そろそろ帰りますので。あれの準備をお願いしますね」
『場所はいつもので?』
「ええ、いつもの所で」
『了解です』
連絡を終えたフリングは藍染達に声をかける。
「さあ、みんな。防衛チームの所に向かい、中立都市へ帰りましょう」
『おーー!!』
一方でエーレイル達の方は……。
「よし、全員集まったな! フラメイア、怪我人はもういねえか!?」
エーレイルは腕を組みながら確認を取る。
「負傷者はみんな治療完了しましたよ」
治安部隊の軍服を着ている糸目の女性が答える。
「全員集まったか!?」
「全部隊と冒険者達、全て揃っています」
治安部隊の兵の一人が答える。
「あとはあいつらだけだな……」
「そういえば、森の方でもデカい音が聞こえたな」
フレンはそう言いながら森の方を見る。
「森に入っていった皆さん大丈夫でしょうか……」
不安になり、俯くエリ。
「大丈夫だよ。ガラの悪い連中はともかく、フリングやリュヴィエルにあの天使と悪魔もいるし。アイゼンは……どうだろうね」
最後に苦笑いしながら言うリエ。
「フリングの奴が同伴してたんだから心配ねえだろ」
鼻で笑いながら言うエーレイル。
そんな時だった。
「エーレイルさん!! 森の方からフリングさん達が!!」
見張り台にいる双眼鏡を持った治安部隊の兵が大きな声で報告する。
「お、噂をすればなんとやらだな。さあ、みんな!! 生きて帰ってきた奴らを盛大に迎えてやろうぜ!!」
『おーーーーーー!!!』
エーレイルの言葉に全員が歓喜の声を上げた。
こうして、中立都市防衛戦は無事に終わったのであった……。
藍染、無事生還!
冒険者、治安部隊の大勝利!!




