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狩人と銀色の花嫁  作者: 榊原シオン
第6章

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第159話 エマール家の動き

 グロックは実家であるエマール家へと足を運んでいた。


 出迎えてくれたメイドに本日の来訪理由を伝え、息子で当主であるヨークの私室へと足を運ぶ。


 私室へと入室すると、ヨークの妻であるチェルシーの姿も見受けられる。メイドからの知らせに伴い、時間を作ってくれたのだという事は容易に想像がついた。


 まずは、来訪したグロックの為、時間を空けてくれた二人に感謝の意を伝える所から始める事とした。


「ヨーク、チェルシーさん。わざわざ時間を設けてくれた事、心から感謝する」


「いやいや、父さん。何を言うんだい? 先日、訪ねてくれた時にも伝えたけども、ここは貴方の家だ。そんなに(かしこ)まる必要はないよ。逆にそんなに畏まれると、こちらが寂しいと感じてしまう。なので、そんな気の使い方は止めて貰いたい」


「そうじゃな……。確かにそうかもしれぬ。とはいえ、今回はとある願い事があるゆえ、こちらへと足を運んだ次第。願い出る立場としては、当然の態度であろう?」


「願い? 俺達にかい? 父さんにはベティスの進学の話を進めてくれたという借りもあるから、なるべく力になりたいとは思っているけども……。それは、どんな願いなんだい?」


 ヨークからの問い掛けに、グロックが少しだけ間を置く。だが、直ぐ意を決すると願いの内容を語り始めた。


「うむ。その事なんじゃが、実は一昨日、生活を共にするアルスが教会に連れて行かれた。アルスの母であるマーレさんの願いもあり、アルスは教会には一属性の精霊師として、六つの教会で各々の属性登録を済ませたんじゃが、どうやら、王都内の枢機卿に目を付けられたらしい……。アルスが六属性を扱える精霊師である事は、未だ気付いていないようじゃが、一属性であるという事を疑われているのは事実。それで連れて行かれたようじゃ……」


「まあ、疑われても仕方ないだろうね……。精霊師の登録には教会に赴かなくてはならない。しかも、確認の為、その場で水晶玉へと触れるというおまけ付き。アルス君が触れた水晶玉がどんな反応をするかは知らないけども、きっと普通の反応では無いのだろう? なら疑われても仕方ない。つまり、父さんはアルス君を教会から救い出したいって事かい?」



「いや、そうではないんじゃ。それならば目的はハッキリしている以上、どうするか知恵を借りれば済む話じゃろう。じゃが、今回借りたいのは人手ということになる」


「人手?」


「ああ、そうじゃ。正確な時間は定かではないが、枢機卿が言うには、アルスは教会からの捕縛から逃げ出したらしい。その事を表すように、昨日も今日もアルスの事を探す司教たちの姿を多く見かけた。教会もアルスの行方を捜しているという事は事実じゃ。ゆえに、こちらもアルスの捜索に乗り出す事と決めたのじゃ。今日、ここへと参ったのは、その捜索の為の人手を借りる為じゃ」


 グロックからの説明に、チェルシーが疑問を口にする。


「お義父様、ちょっと待って下さい。アルス君が教会から逃げ出したという事は理解しました。ならば、どうしてアルス君は家へと帰って来ないのでしょう?」


 グロックがチェルシーからの質問に頷く。


「うむ。判らないのは、そこじゃ。アルスが帰って来ないのは、例えば怪我を負い動けない状況下にある。もしくは、教会関係者からは思いもよらぬ所に逃げおうせている。このどちらかなのじゃと思う。じゃが、何か妙じゃ。何か妙じゃという気がするのじゃが、何が妙なのかも判らん。ゆえに、イライラするというのが、わしの心境じゃ……」


 グロックからの言葉にヨークとチェルシーの二人が考え込む。少しして、ヨークが思い出しらかのように顔を上げた。


「教会が思いもよらぬ場所……。父さん! それって、前に言ってた精霊界とかという可能性は?」


「うむ。その可能性もあるじゃろう。そちらは、ベティスがニッキを伴い確認に赴いておる。精霊界とコンタクトを取れるのは、アルスを除けばベティスのみになるからの。ゆえに、直ぐに結果は分かるじゃろう。仮に、ベティスがまた精霊界へと足を踏み入れる事になったとしても、ニッキがその結果を持ち帰るじゃろうからの。じゃが、アルスが精霊界に赴いているとは限らん。教会が人手を掛けてアルスの捜索に当たっている以上、出し抜かれる訳にもいかん。ゆえに、人手を借りたいのじゃ。そして、それはアルスが見つかるまで継続する。という事も念頭に話を進めて貰いたい」


「う~ん……。父さん、正直な話をすると、俺としては気が進まないというのが率直な意見だ。確かに、アルス君はベティスの将来的な旦那になる可能性がある。だが、それはまだ未知数だ。現状では、娘であるベティスが惚れている相手という(くく)り付けになってしまうだろう。つまり、身内でもなんでもない。そんな身内でもない人間の為、本来の業務を止めてまで人手を割くという事には、正直抵抗がある」


 そんな事を口にするヨークに対し、意外にもチェルシーが反対の意を口にする。


「あなた。アルス君だからこそなのだと思います。アルス君の行方が知れないという事であれば、ベティスがジッとなんてしている筈がないでしょう。それこそ、誰よりも真っ先に家を飛び出し、アルス君の行方を探し回るに違いありません。それを、止めるのは相当骨のかかる事になりましょう。だからこそ、お義父様はその時間を短縮する為にも人手を割いてくれとおっしゃってるのだと思います。あなた、これはもう仕方のない事です。人手を割きましょう」


 チェルシーからの申し出に、ヨークが渋々ながらも頷き、人手を割く事を了承する。


 面子としてはメイドが中心となり捜索に当たる事となったが、メイド服では目立ちすぎる。事件性がある事を宣伝しているようなものだ。ゆえに、捜索には私服にて行う事としたのだった。

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