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狩人と銀色の花嫁  作者: 榊原シオン
第5章

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第138話 ベティスの再登録

 アルスとベティスの精霊師としての再登録が無事終わった。


 と、いうよりも教会の連携の悪さが浮き彫りになったといった形である。


 ベティス、グロック、ニッキの三人で王都内への教会へと再登録に赴いた訳だが、その対応はアルス、マーレの時と同様に、修道女(シスター)オリーブが行った。


 ベティスは、火、風、闇の三属性。

 グロックは、土と闇の二属性。

 ニッキは、水の一属性。


 それぞれ、対応の色が水晶玉に浮かんだ事を、オリーブが確認している。


 魔力量はグロック、ニッキ、ベティスの順であり、魔力量は経験によっても総量が増える事になる為、年齢順というのも納得の結果である。


 ここまでの対応を行ったのがオリーブ。問題はその次であった。


 記載された台帳を基に、確認していったのが、教会内で勤める司教であるが、ベティスとグロックの二名がセカンドネームを持っていた事で、貴族である事には直ぐに気付いた。


 この世界では、セカンドネームを持てるのは、準男爵以上の貴族のみだからである。





 ここで、一度貴族の階級について説明を入れておこうと思う。


 この世界には、八つの貴族階級が存在する。上から、皇族、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵。


 皇族は、王族とも言われ、王位への権利を有した一族になる。


 一方、平民から貴族になるにあたり、武術で功績を挙げた者が『騎士の称号』を。芸術、又は、学問の面で優れた功績を挙げた者が『博士の称号』を、それぞれ(たまわ)る事になる。


 そして、いずれかの称号を会得した者は、セカンドネームを名乗る事が許され、晴れて準男爵の地位を授けられるのである。


 ただし、貴族へと至ったものの、その特権は当代のみとなる。当代のみの階級である事から、その階級が息子または娘に引き継がれる事はない。


 貴族階級を、息子または娘の次の代へと引き継ぐ為には、更に功績を挙げ、男爵へと昇格するしか術はない事になってしまう。


 ゼスト一家が、かつて準男爵が住んでいた家を買い取った経緯であるが、以前住んでいた準男爵は、男爵へと昇格出来なかった事で家を手放したのだという事は、容易に想像が出来る。


 当代のみの限定的な貴族階級を賜った準男爵ではあるが、男性なら可能な重婚をも認められてはいない。


 この世界で最も大切にされているのが、家の血を次の代へと繋いでいく事。つまりは、世継ぎという事になる。


 ゆえに、結婚に至るまでの年齢も早く、十五、六で結婚に至るケースもざらであった。


 それは、ゼスト一家でも同様と言える。


 特に、アルスに至っては、六属性の精霊師である事が明るみに出た際には、アルスが子を望まなかったとしても、世間が許さないであろう。


 そんなこともあり、アルスとの間に、子を設ける事が得策ではないベティスの為、アルスは貴族を目指すことになるのであるが、アルスは最低でも重婚が許される男爵以上の地位を求めていく事になる。





 そんな形で、平民が苦労して手に入れた準男爵の地位であるが、更に上の階級の貴族からは、貴族であると認められない事も多いのが、現実であった。


 王からは貴族であるという事を認められているがゆえ、公式の場での扱いは貴族になる。ただし、その階級は当代のみ。それゆえ、かの者を呼称する際に、侮蔑の意味を込めて、○○騎士や、○○博士など、公式以外の場では、他の貴族から準男爵とは呼ばれない事も多いのであった。





 ベティス・エマールとグロック・エマール。二名が同じセカンドネームを持っている事で、その階級こそ分からないものの、少なくとも男爵以上の純然たる貴族である事を察知した司教。


 ベティスが以前は、一属性での精霊師であると登録されているのが、今回は三属性へと変わっている事に気付く。


 本来であれば、以前との違いがあるという事で、更に詳細に調べるなり、自身の上司に当たるビネガー枢機卿に報告を挙げるというのが、当然の対応であるが、ここで教会が以前とは変わった点が多いに関係してくる。


 指輪の件を発案して以降、訪れる人が激増した教会。教会の方針上、事前に登録しているか否かの確認をせねばならず、その対応に追われる司教たち。


 該当者の登録情報を見つける為には、膨大な冊数の登録簿から見つけなければならない。ただし、その教会内で保管している情報はあくまでその教会で登録した者のみである。


 その当人が別の教会で登録したという事であれば、その教会へと登録の有無を問い合わせる必要が発生する。


 つまりは逆の事も言える。シュヴァイゲン王国において、一番人口が多い王都シュヴァイゲン。その王都内に設置された教会には、アルス達のように直接訪れる者も多いが、他の教会からの問い合わせも殺到するのである。


 理由は、人間の心理に関係する。


 折角、息子または娘を晴れて精霊師として登録するのだから、出来れば大きい教会で……。というのが、親心であろう。


 ゆえに、数多くの登録情報が存在する王都内の教会。そこに更に別の教会から問い合わせが殺到するのである。この教会内に席を置く司教としては、たまったものではない。


 正直、特別手当でも貰えなければ、割に合わないともいえる忙しさであった。


 そんな中見つけたベティスの情報。


 どうせ何かの間違いだろう……。それに、今回は三属性分の金額を受け取っているから……。と、簡単に受け流してしまうのは仕方がないと言えるのかもしれない。





 そんな経緯もあり、無事に登録が終わったベティス。


 これでもし、グロックが即行動に移さず、少しでも先延ばしにしようと、後日後日と、どんどん後回しにしていったとしたら、それに比例するかのように、登録者も日に日に減っていった中での登録になる。


 そうなれば、今より忙しさが緩和された事で、ベティスの登録の違いに違和感を持たれて調べ直されていたかもしれない。


 正しく、運とタイミングとに恵まれて、ベティスの再登録は無事終わったのであった。

今回は、会話文が一つも無い状態での投稿となりました。


以前から、貴族階級の事には触れたいと常々思っておりましたが、載せるタイミングであれば、ここだろう。と、踏み切らせて頂きました。


貴族階級の件は、一般的なものと差異があると思います。


ただ、今回触れた内容は、あくまで、この物語上ではこうですよ。と、いう事だけご理解下さい。

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