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狩人と銀色の花嫁  作者: 榊原シオン
第5章

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第134話 登録への抜け穴

 マーレが、アルスを伴い教会へと赴く。


 本来であればもっと早くに登録にきたかったのだが、アルスの初等部への進学を二週間後に控え、いよいよ登録を済ませる事となった。


 一番の問題はアルスが六属性を扱える精霊師であるという事であるが、こちらに関しては、マーレ、ゼスト、グロックの大人達三人で毎夜話し合いの場が設けられた。




 アルスの身を案じ、六属性使用出来る精霊師として登録したくないマーレ。


 アルスを貴族へと成り上がらせる為にも、六属性使用出来る事を全面的に知らしめたいグロック。


 幾度となく行われた話し合いの場は、平行線のまま終わりを告げる。




 そんな全く進まない話し合いの中、とある日の夜、ゼストが一口切り込む。


「すまん、ちょっと確認したいんだが……。そもそもアルスは、一属性のみの精霊師として登録出来るのか?」


「それについてなんですけど……。あなた、覚えていますか? アルスがハミルさんの下で水晶玉に触れた時の事を」


「アルスが、水晶玉に触れた時?」


 マーレに促され、ゼストは記憶を掘り起こす。あれから何だかんだと、約半年の時間が経過していた。


「ええ。あの時、水晶玉は銀色に輝きましたよね?」


「ああ……。そうだな」


「グロック先生、アルスが触れた水晶玉は銀色に反応した訳ですけども……。グロック先生は、水晶玉が銀色に反応した意味を知ってましたか?」


 と、自身の師でもあり、この王都でも精霊師の第一人者と目されるグロックへと質問する。


「いや。わしは知りませなんだな。そういえば……。水晶玉が銀色に反応した意味は、結局どこから知り得た情報じゃったじゃろうか」


「それはですね。アルスが、幼精に聞いた事で、初めて判明した事なんです」


「そうか。そういえば、そうだったな」


 ゼストはその事を、夕飯を食べ終えた、ある日の夜に聞いた訳であるが、あの頃のマーレは、妖精の声が聴こえる事といい、六属性全てが扱える精霊師であるという事で、アルス自身がアルミラ様の生まれ変わりではないかと興奮していた事を思い出す。


「実際、アルミラ様自身が水晶玉に触れた事があるかは定かではありません。ただ、その可能性は低いのでは? と、私は思っています。私は長年、アルミラ教の信者として、生前のアルミラ様の事は興味もあり、書物等を通して色々と勉強しました」


 アルミラから名を貰い、アルスの名としたほどである。ゼストもグロックも、マーレがアルミラ様を崇拝している事は当然知っている。


「私が知るところによると、アルミラ様自身が精霊師となって以降、それを他者へと還元していったのは、かなり晩年になってからだったようです」


「そうだったのか……」


「ええ。アルミラ様自身が初めての精霊師という事もあり、まずはその力の解明を第一に行っていったようです。そして、ある程度色々と試した事で、魔法書の制作へと取り掛かっていった……。ゆえに、魔法書の完成自体がかなりお年を召してからの事でありました。今でこそ魔力が有る無しの判断に水晶玉を用いますが、アルミラ様自身は精霊師として大成なされていたことから、私はアルミラ様が水晶玉に触れたという結果は残っていないのではと思っています」


「マーレ、つまりどういう事なんだ?」


「つまり、水晶玉が銀色に反応する。その事の意味を誰も知らないという事です」


「マーレさん、確かにその可能性は高いじゃろう。じゃが、そう結論付けるのは、(いささ)か早すぎやしないじゃろうか」


 と、結論を急ぎ過ぎるマーレに、グロックが待ったを掛ける。


「確かに、そうかもしれません。ただ、私はアルスを六属性が使える精霊師として登録させたくはありません。ならばこその、抜け穴です」


「抜け穴じゃと?」


「ええ。例えば、私自身は二属性を扱える精霊師ですが、私が水晶玉に触れると、水晶玉には青色と緑色。二色、出るんです。グロック先生も同じですよね?」


「そうじゃな。わしも、マーレさんとは色こそ違えど、橙色と紫色の二色出ましたな」


 グロックの発言に、マーレが大きく頷く。


「そうですよね。ここで、アルスの話に戻します。アルスは六属性全てが扱える精霊師です。アルスが触れた水晶玉は、六色出ましたか?」


「銀色ではあるが…… 単色という事か?」




「そうです! そして、銀色の意味は、誰も知らない……」




 マーレが言わんとする意味を、ゼスト、グロック、両名もようやく理解する。そして、ならばこそとグロックが再び歯止めに掛かる。


「待つんじゃ、マーレさん! その考え方は危険じゃ!」


 自分の事を止めに掛かるグロックを、少し鬱陶しそうに見やるマーレ。舌打ちこそしないものの、発せられる声は低くなる。




「先生……。これしか、アルスを救う手立てが無いんです……。他に、何かありますか? あるならば、教えて! ねえ……。教えてよ!」




 吸血(ブラッディ)蝙蝠(バット)に襲われたベティスに、吸血蝙蝠の血を飲ませる事を提案したマーレ。あの時、同様……。いや、母親という気持ちが乗る分、それ以上の危うさを(はら)んだような表情を浮かべるマーレ。


「ぐっ……」


 グロックもゼストも、マーレの思考が狭まりすぎてしまっている事には気付いている。だが、肝心の反論出来るだけの材料がない……。


「アルスは、一属性使いの精霊師として、教会に登録します。……良いですね?」


「「……」」


 ゼストもグロックも、何も言えない。


 これしか道は無いのかと、項垂(うなだ)れる。




 こうして、アルスは教会には一属性の精霊師として登録を行う事に決まる。


 そして、その為にはマーレが以前考えたように、六つの教会へと登録に赴く必要が出てくるのであった。

最後の一文の、『以前にマーレが考えたように』とは


第8話 精霊の声 の内容になります。

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