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第二十二話「寛解」

「「お疲れ様です! スウェードバリ将軍、フリーデン隊長」

「おう、お前らも留守番ご苦労だった。こっちはそんな大した敵は居なかったから楽だったよ」

 と、部屋に入って来た将軍とフリーデンが椅子に腰かける。

「そちらこそ、お疲れ様です。ところで……」

 そう言ってフリーデンが不審に思ったのか険しい表情になる。おそらく、ヨハンソンがこの場に来て出迎えないことを疑問に思っているに違いない。

「「ヨハンソン(殿)はどこだ(どこですか)?」」

 と、二人そろって想定通りの言葉を言う。一応打ち合わせ通りの言葉を、

「「ムカついたんで、殺しました!!」」

「ふざけんなアホ」

 将軍の右フックが俺の頬をかすめる。気が短すぎだろこのオッサン、と思うけどさすがに俺らが悪いか。

「冗談は貴様らの顔と頭だけにしてくれ。ワシが居らん間に何があったか報告してもらおう」

 半ギレの様相の将軍におびえつつ俺とセイコラが話を始めた。少年を誘拐していたこと、ノベルを殺したこと、だからもう一緒に戦いたくないから殺したとありのままに話してみた。

「ムムム、それなら仕方ないとワシは思う。流石にそこまで勝手なことされたらワシも殺してるわ」

「そうですね、僕も前の命令違反の時に本気で死んでくれって思いましたからね。良くやってくれました。ただ、問題は一つ、どうやって上の人間や第三大隊の人間を誤魔化すかですね」

「ヨハンソンは急病で中央に帰ったというように、第三大隊の人間に俺が伝えております。中央に戻る途中で死亡したと九人委員会や他の兵士に報告すれば、こちらとしては大丈夫だと思います」

 一応策は練ってあるし、あとは強気で行けばいいんだ。そう思って事前の打ち合わせ通りの言葉を畳み掛けようとする。

「あとの問題は、教会の人間が連れて来た兵士が少なくなるってことですね。オレとダグラスが考えてみたんですが、ヨハンソンを処刑したから停戦してくれとノース・ヴィジャーの方に頼むのがベストだという結論に至りました」

 俺が言おうとした直後、結論をセイコラが言う。大事なとこを持っていきやがって。

「停戦か。まあそれはいいと思う。だがな、敵軍の上層部にどの伝手を辿って停戦を申し込むんだ? 一応前にダグラスが遭遇したヴァルゴーダはワシの知り合いだし、アイツ経由で頼んでみるか?」

「いや、そうしなくてもいいルートがあるではないですか。ダグラス殿の弟君でノース・ヴィジャーの№2であるサイモン・ダグラス殿が」

 今度はフリーデンが俺の言いたいことを先取りする。アンタらそんなに俺にイイところを見せさせたくないのか。

「そうだな。和平に関する上の人間の反発は、ワシとエクステット元帥とで何とかする。とりあえずダグラス、セイコラ、お前らで和平工作のための準備を始めてくれ。一応ワシも向こうとの話し合いには参加するが、メインはお前ら二人で頼むぞ」

「「了解しました!!」」

 一応難所を乗り越えた。後は何とかできるだろう。


 とりあえず将軍とフリーデンは激戦の疲れからか、早々に自分の宿所に帰ってしまった。その一方で、俺とセイコラは数時間かけて和平交渉の準備をした。まあ言い出しっぺだししょうがないけど。

「この手紙を持って、ヴォルジュにいるサイモン・ダグラスの元へ行ってくれ。頼んだぞ」

 手紙を使者に持たせてようやく仕事が終わった。まあこれで全部けりがついたらいいんだけど……。

「セイコラさん。それじゃあ帰りますわ、おやすみなさい」

「……ちょっと待て、話がある」

 神妙な面持ちのセイコラに呼び止められる。なんだろうか。

「弟が必ずしも停戦に応じてくれるとは限らんぞ。なんか善後策は考えてるのか? オレも途中までイケると思ってたけど、よくよく考えてみたら不安になって来たわ」

 まあ確かに俺も絶対大丈夫とは言い切れないと思っている。でも絶対に成功させたい。

だって……

「何としてでも説得してみせます。だって、俺がここに来た理由が『この戦争を終わらせること』だと思うからです」

 数秒考え込んだ後、セイコラがニヤリとした。なんか大それたことに聞こえたのだろうか。これでも、ヨハンソンを殺した後の掃除の時に、必死に考え付いた言い訳の一つなんだけど……。

「ほう、そうか。大きく出たな。まあ、これが終わったら向こうに戻れたらいいな」

 もちろん。戻るために使命を果たそうと思っている。そのための交渉だ。

「じゃあお疲れさん。オレもぼちぼち寝るわ」

 セイコラも俺も部屋を出て自分の寝室に戻る。目を瞑って自問自答を繰り返してみると、無数の疑問が浮かび上がってくる。本当に俺のしていることは正しいのかいいのか、本当に元居た世界に戻れるのか、ジョージ・ダグラスってやつが何をしているのか。考えだしたらキリがない。でも、今目の前にあることは一つ。俺は「俺」自身の力でジョージ・ダグラスとしての道を切り開き、また黒川譲次(自分)の道を切り開かなければいけな、そして、なんとしてでももうこれ以上仲間を死なせない。ってことか。

 色々と考え事、と言ってもこっちに来てから寝る前頻繁に思い出していたことを一通り考えつつ眠りについた。果たして交渉ってのは成功するのだろうか……。


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