2/8
第一話
大志はドアを開けて店の中へ入った。
すると中にはいかにも料理人らしき服装をした細身の男が一人、カウンター席で新聞を読んでいた。
店の内装はカウンター席と四人席がいくつかの構成。
大志の感想はラーメン屋。
だが表の看板に書いてある文字とメニューは定食屋。
しばらくすると男が立ち尽くす大志に気付いた。
「これはこれは、いらっしゃい。悪かったね気付かなくて、何しろこれが面白くて」
男は新聞を畳んでカウンター席に置くと、店の奥へ入って行く。
「さあさ、どこかへ座って下さい。お客を立たせておくなんて、店の恥もいい所。メニューを取って来る間、それでも見ていてくださいな」
妙な言い回しで言葉をはく男に、大志は疑問を持ちながらもカウンター席に座る。
そしておもむろに携帯電話を取り出していじくりだす。
現代っ子ならではの行動、何処でも見られる光景。
しかし、男はその光景に目を丸くしながら奥から出て来る。
「へぇ、その箱がそれよりも、面白いとは不思議だなぁ。さあさ、そんな箱よりも、このメニューを見てくださいな」
そう言って男は大志の前にメニューを広げた。
大志はそれを覗き込む。
次の瞬間に鈍い音がして、大志は意識を失った。




