ーーー
「おお、これが魔法か!」
数名の少年少女が各々の杖に歓喜している。
「これ、本当にいいのかアネゴ!」
「ああ、これは当日まで練習が必須だからほどほどにな」
「おっしゃお前ら行こうぜ!」
各々はしゃぎつつ廃墟で放つ。それは確かに炎、水、風と様々に、しかし実態と化した何かとなって攻撃する。
しかしそれが科学的なものではないのは目に見てわかる。ただ出る、それだけだ。
「不服かい?」
「…ああ」
ただでさえお守りをする立場で、その上数日前に対峙した男を信用しろとは、無理な事だ。
「まあ、信用はいらないよ。あくまでこちらは商売だからね」
用を終えた男は心を読んだように去る。
見た目は高校生だが、風貌がどうもそれ以上に思えた。だが、少なくともその謎を知るには、まだ奴との繋がりが薄すぎる。
再度審議する。ボスは本当にそれを承認したのか?
否、少なくとも今までの付き合いで分かるのは、こんな信用が置かない男と取引はしない。ボスは人を見る目に優れているはずだ。
しかしその目で判断したと言うなら従うだけだ。私はただの下っ端なのだから。
少しして少女が一人、こちらに不安そうに駆け寄ってきた。
「あ、あの…」
口籠る少女に、私は優しく微笑んで、
「どうした? なんでも言ってごらん」
すると少女は声を小さく、しかしちゃんと聞こえる声で話した。
「…もう、人殺したくない」
少女は涙目になって訴える。私はそれに対して口籠るが……
「セイさんに意見するのか?」
無機質な目をした彼が少女の髪を引っ張って振り向かせる。少女は彼の恐ろしさを知っているから、喋れなかった。
「…そんなに嫌なら殺してやる」
「やめろツカサ!!」
ツカサの手を払って少女をこちらに引き込み抱きしめる。その間も無機質な目は少女を捕らえていた。
「ツカサ、下がれ」
「……」
静かに、彼はその場から消えた。
困り物だ、従順すぎる犬も、理解できない飼い主も。
そして今日も洗脳する。少女たちに戦え、と。
『アルネス』はそんな組織じゃなかったはずなのに。




