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故意的誤解 1
「……まーすごい」
先日渡された『松尾邸』に驚く。
まさしく豪邸。しかしこれも別荘の一つだとか。
門から140センチの会長がくぐって現れた。
「やあ、おはよう後輩くん」
「…車は?」
あたりを見回すが黒塗りの車とかは現れない。
すると会長は笑顔で、
「はっはっは! いつもの時間じゃないからいないぞ? 何せ抜け出したからな!」
なんだろうか、邸宅では何か騒々しい感じがする。
「じゃ、行こうか後輩!」
そんなこともお構いなしに会長は俺の手を引いて歩き出し、俺もため息混じりに引っ張られていった。
午前7時、俺は一時間早くきた学校になにか感動を感じつつ体操着に着替えて会長がまつ校庭に来た。
ついて早々、彼女は眉を潜めて聞かれる。
「君、そのパーカー好きだね」
「まあ、まだ寒いですし」
いつものパーカーを羽織ったことがどうもおかしいのかジロジロ見ていたけど、すぐに、
「じゃ、練習しようか!」
と鉢巻きを取り出して笑った。
それから一時間は走り、8時に切り上げる。
そして昼も30分、放課後は下校時間まで山を走った。
ペースを考えて走って、それを毎日続けたら、たった3日で噂は校内全域に行き渡った。
こうして計画その一は完了し、次弾の運動会まで続けるだけとなった。




