裏と表と、狭間 4
「で、情報はどうだった?」
麻央は赤いパーカーを翻して付いてくる。
「ああ、さすが警察庁トップの次男坊、ってところか。それと、カタギトップの愛娘、ってな」
《トレース》で写した紙を麻央に渡す。
既に調査が入っていたが、どうやら特定条件かつ相手からのコンタクトがないと会えないようだ。警察側、反社側に交渉の形跡あり。
実際にそれが『魔法』かどうかの確認は取れないが、少なくとも現在科学で対抗が難しいものを密売しているとのこと。
特定条件は不明、相手の人相も分からず、取引した奴には何かしらの術式を組み込んで漏洩阻止。
一度取引した人を捕まえることに成功した警察は、しかし当時の記憶を完全に抹消されていた上、本来監視カメラがある地帯で交渉していたのに対してその影すら映らない。
まあ、簡単に言えばお手上げのようだ。
だが、さすがお巡りさんの情報量は一味違う。
そこからさらに話は続き、実は何人かはその取引を見たと言う証言あり。しかし後日聞こうとすると記憶が消えていた。
また、自身も記憶を消されたが、それ対策に持ってたドラレコで状況を分析し、分かったのは現取引相手がこの地に潜伏し、おそらくその組織は『松尾 花』を狙っていると言う事。
「…これって」
「まあ、あくまで推測だろうがな」
読み終えた紙を返され、俺はそれを燃やす。
「証拠は残さない、か。足掴むの面倒だな」
「ユウマ」
麻央は立ち止まる。俺は麻央に視線を向け待つ。
「これも、『霧隠し』の真犯人が絡んでると思う?」
「あるな。魔法がらみなら絶対に」
即答だった。まあ疑う余地はない。
相手はどうも無駄な殺しはしていない。『霧隠し』の時も、被害者の多くは裏で何かしらのことをした人間、あるいは俺と関わった人間……。
すると麻央は暗い顔で、
「…僕たちがやった可能性って、考えてる?」
と聞かれ、俺は迷わず麻央の頭をクシャクシャにしてやった。
「や、やー!?」
「ねーよ」
止めようと必死になる麻央の手は止まる。
俺は手をだけ、再び前を向いて歩く。
「マオ、内緒でなんか食べてかねーか? 最近ファミレスできたんだよ。俺気になったてて仕方ねーんだ。深夜料金が痛いがパフェ食いに行こうぜ」
俺は進路を変えてただ一軒明かりがあるファミレスに向かう。
麻央はしばらく止まっていたが、
「……うん、たべる!!」
と言って付いてきた。
機嫌を良くしたのか、会計時に麻央は頑なに奢ろうとして俺が根負けした。




