裏と表と、狭間 3
俺は一通りノートに目を通して感服した。
「アニキ、どっぷり浸かってるじゃねーか。今回の件以外にも面倒事抱えてるし、いつか背後取られるぞ?」
「ああ、自覚してる。俺もできれば足を洗いたいぜ」
悲観していてもこの情報収集力、実際かなり危ない線にあるのは確かだ。
俺はノートを閉じ、
「…なあ、安全な仕事紹介しようか?」
と聞くが、敦は同意しなかった。
「この仕事選んだ地点で覚悟はしてる。どんな危険があるかわからない職だ。……だからこそ俺がその立場に立って、小さいがこの市のヒーローにはなって見せるさ」
「…本当、生きにくい人生だなアニキ」
「お前もな」
俺はノートを返し、立つ。
「おう、もう帰るのか?」
「ああ、今は帰りを待ってる奴が多くて面倒だからな。それに、あれからちゃんと綺麗にしてるようだし」
「まあ、最近こいつが完全に居座ってるからな」
「なんです〜、いて悪いんですかせんぱーい?」
「そうは言ってねーよ」
相変わらずの仲の良さにほっこりして、
「あ、そうそう」
ともう一つの本題を、茶封筒を敦に渡した。
「市のヒーローさん、市の裏ボスからの依頼を受けてくれないか?」
敦は茶封筒を開けて中身を取り出し、苦笑いした。
「……あの部長が長い休暇つけたのって、お前の仕業か?」
「さー、どーだろーね? まあ、ハネムーンだったら受けなくていいよ」
「…やっぱりお前は疫病神だ」
「そりゃいい。俺は神なんだからな!」
俺が帰ると分かったのか、解放された麻央も玄関についてくる。敦と名残惜しそうな才加はしかし、居間から立つことはなかった。
「じゃ、運動会でまた!」
「…たく、しょうがねーな!」
互いに手をあげ、俺は今のドアを閉めた。




