粉吹市の苦労人 1
「あ、ユウマさん!」
玄関を出た先にカナコがいた。
「おう。飯食ってくか?」
「いえ、嬉しいお誘いですが、先程ギンキさんたちといただいたので」
「そっか」
と、スマホの時計を確認して、
「悪い。これから用事があるから、後でリブ経由でちょっと相談乗ってくれ」
「あ、はい! ユウマさんもお気をつけて」
「おう。あ、俺の部屋にプリンあるからよかったら食ってくれ!」
俺はそれだけいい、急いで階段を駆け下りた。
フードを深く被り、俺は街灯に照らされながら暗い夜道を行く。
途中何度か裏道を進んでは戻りの繰り返し。
頼みっぱなしではいけない。それに、裏には裏のコネクションがある。
何より、前回の『霧隠し』は俺の怠惰で麻央を巻き込んでしまった。普通の生活をしたいがため、本当は予兆などいくらでもあったのに見なかった。
だから今回は後手に回らないつもりだ。ひとまずはその商人がいるかどうかからだ。
だがただ裏の人間、例えば『反社勢力』に聞き込んでもあまり意味はないだろう。
時として、そういうデマや推測止まりな謎は灯台の方とは限らない。そう、裏情報が共有された『自衛隊』や『裏組織』、『反社』のほかに、例えば『警察』、それも『お巡りさん』くらいのネットワークが意外性をつくことだってある。
最も、今出向く相手がその立ち位置ならだけど。




