惣菜戦争 3
結果として両方買わなかった。
俺は喧嘩両成敗で二人にチャップを喰らわせ戻させた。
惣菜は買わず、徳用プリンを人数分プラス俺用一パック、1.5Lのジュース数本を追加してレジに向かった。その間二人は無言で消沈していたが無視。
「おっじゃまー……ってうわああ!?」
玄関を勢いよく開けてキッチンにいる俺を無視して入ってきた信木は、居間でまだ消沈して正座する舞夜と優華に驚いた。
一緒に入ってきた文坂と更識たちも驚いた中、信木は違和感に気付いて俺のいるキッチンに戻ってきた。
「なんだノブキ。まず洗面所で手洗え」
「ああ……じゃねーよ! 煤野……マオはどうしたんだ?」
「いいから洗ってこい。……すぐくるから」
「なんだー? 喧嘩でもしたのか?」
とハテナを浮かべつつ洗面所へ渋々入っていった。
「……ねえ、本当に喧嘩してないのよね?」
ある程度の準備が終わり、それでもこない事に更識までソワソワしだす。
「まさかユウマ、あんたなんかしたでしょ!」
「なんでだ!?……お前変わったよなー」
「何がよ?」
更識は確かに変わった。少なくとも彼女にとっては普通のつもりだろうが、その普通がここ数日前までなかった。
『霧隠し』は確かに面倒ごとだったが、それを経てこうして今、彼女はなんの疑問もなくこの食卓を囲む一人となった。
「……今度、机買い換えるか」
と、そこで玄関が開かれ、麻央が圧力鍋を片手に現れた。
「ユウマー、ご飯できてる?」
「おう! もうみんな待ってっぞー」
麻央はいそいそと靴を脱ぎ、こけない程度の早歩きで居間に入って、圧力鍋を机の中心に置いた。
麻央と入れ違いに俺は台所に蓋をして弱火で温めていたフライパンから『それ』を人数分さらにのせて再び居間に戻った。
炊飯器はちょうどアラームが鳴り、麻央は横に置かれた茶碗にご飯をよそう。
「ほらユウカ、マヤ。ご飯だ」
二人は顔を上げて目を丸くした。
俺が作ったのはチーズ入りハンバーグ、麻央が作ってきたのは肉じゃが。
「「いただきます!」」
二人は一斉に食べ始め、それに習って各々ご飯を食べ始めた。
ホント食いたいなら一緒にすればいいだけだと、そんな簡単な解決を思いつかない二人に俺と麻央はフッ、と笑ってしまった。




