幼女会長の依頼 5
「『二人三脚』を逆手に取る、と?」
「そう、押してダメなら引いてみろ、っすよ」
要約すれば、この二人三脚で俺と会長が組んで優勝を目指す。その間あからさまに練習風景を学校中で見せつけ、何とか焚き付けられるかを見極めつつ当日。当日の展開は正直直前までは判断がつかないのが難点だが、もし両想いなら、その後開催される後夜祭のキャンプファイヤーのフォークダンスですべてが決まる。
恋のジンクスはここにも存在はしている。つまり二人三脚をあえて捨て、この後夜祭に決めるという一発勝負。逃げればチャンスのない一発勝負。
「...最もリスクは『恋のジンクス』。結果はどうあれ、おそらくその間の俺と会長は恋愛関係に見えてしまうという点です。もし副会長のとらえ方を誤れば、俺と会長の仲を取り持つためにいなくなるかもしれない。決めるのはあなたです。もちろん代案はあります」
「いえ、これで行きましょう」
彼女は考えるそぶりも見せずに決めた。
「...いいんですね」
「ええ。頼んだのは私ですし......それで離れてしまう気持ちなら受け取らなくていいです」
一見すれば冷たいが、それは彼女の今までの私生活を考えれば納得だろう。
彼女は『お嬢様』、たいして彼は『執事』。
いずれこのままなら家が決めた人と付き合うことだってあるだろう。
俺と違ってそれは御曹司。俺ぐらいのぽっとでに譲れる程度の気持ちならないほうがいい。でないと、きっと会長は―――
しかしすぐに曇りだす彼女の表情は言葉となる。
「...でもあなたも同じ条件です。私は周りに気にすることはしませんが、あなたの思い人に勘違いされてはいけないと思います。私と違いあなたは一般人ですよ?」
「はは、今更っすよ先輩!」
俺は吹き飛ばすように笑い、
「それに、いませんから大丈夫ですから」
と親指を立てて見せた。




