そして今日も少女は悩みの種 3
「話題は舞夜の事でもちきりだな」
ハジメが俺の席に現れる。
「そーだな。何せ学年屈指の人気を誇る煤野に似た女子生徒が、それも一ヶ月も経ってない時期に転入して来るんだ。そりゃ湧くよな」
「そーだなー」
サトシも入ってきたが、まあ素っ気なく答える。
「そういやマヤは何処に入るんだ?」
「A組だよ!」
と今度はミサが現れた。
「おい小学生、なんでここにいる」
「そりゃあ理事長なのですから!」
とドヤった。周りがざわめき、中には「とうとうやらかしたかユウマ」とさえ聞こえる。いや年考えろよ? 無理だから。「ロリコン」さえ聞こえ––––
「誰だ『ロリコン』って言ったのは! 出てこい魔法ショーの火あぶりにしてやる!!」
「なんかおぞましいからやめろ」
ハジメに抑えられ、渋々席に座る。まあ、これがこの教室の空気だから本当はあまり怒ってないが、本当に、怒ってないが……ハゲさせてやる。
「…と、これこれ」
とミサがポケットからスマホを取り出す。それは俺の新型のメタルブラックだ。ちなみに今持ってる俺のスマホは仮で、アレから調整の為に預けていた。
「……静かな日々の終わりか」
『相変わらずヒドイな君は』
ミサが持つ端末から声が返って来る。
『まったく、私なしじゃ無詠唱から魔力管理・増幅、ロックオンなどなどが弱体化するのにね』
「昔の事だ。今はまさに使えるっての」
『それが先の体たらくだったのにー』
「よーしミサ、これにウィルス入れろ」
『まてまて! 私まだ魔法より電子戦が苦手なのだからやめてくれ!!』
電子になったくせに電子戦が苦手って、ダメだろ。
さて忘れていた最後の紹介だろうが、現在は端末のナビとなった少女『リブ』について話そう。
彼女は最初は肉体のある人間で『帝国宮廷魔術師』だったらしい。
ここで補足だが、人界でも二つの勢力があった。共存をモットーとした『王国』、そして武力で制圧を目論む『帝国』だ。
『帝国』は来るものを拒まないため多種族で成り立つ国で、それぞれの長所を生かすため、暴走時の麻央は脅威となる前に真っ先に潰したほどだ。
そんな中で彼女は大昔に何かしらの大罪で本に封印。しかし完全ではなかったことから使用者には力を与えるが、大抵は扱いきれずに自滅する。
一度彼女に外に出たいかと聞いたが「ロクでもない外より、あらゆる書物が流れてくるこの中がいい」とニート宣言された。
そんな中、なんとなくで俺が所持していたスマホにリブを入れられないかと考え、そして今、彼女は電子世界の住人になった。最も彼女は「部屋が広くなった」や「模様替えがしやすい」や「処理能力が恐ろしいほど向上した」とか、本当に電子世界の住人みたいな発言が多発するようになってしまった。
あの大戦以降しばらく眠りについていたが、今回の事件で再起動した彼女ははしゃいでいた。それもそうだ。何せここは電波があるのだから。本領の発揮場所だから。
「お前らー、授業始めるぞー。あとりじちょーは早く自分の仕事しに戻ってください」
「はーい」
ドアを開け、いつものような気怠げな坂波先生がミサに帰るよう促し、そこで少女が理事長だとわかって皆それぞれに驚き、なんかすごいことになりかけたが坂波の名簿を机にドンッとしたため、全員各々の席に戻った。
結局A組の歓喜の声が響き渡った。
だが、それ以上に時間差でB組が騒ぎたし、それが何故が伝染していたことを、その間眠ってしまった俺は知る由もなかった。




