そして今日も少女は悩みの種 1
「………むむむ」
「不法侵入の一言目がそれか?」
最近のユウカは魔法無効を突破して窓から鍵開けて入ってくる。もう俺の『魔法無効』は『魔法耐性』に降格しないといけないようだ。
さらに強い魔法耐性を作る事は今なら容易だが、もう壊されるのもいやなので窓と、ドアに張った魔法を今解除した。
「………4時。なんで起きてるの?」
「はっはっは。俺が起きてておかしいか?」
「………また夜更かしした?」
「…………」
図星を突かれて言い返せない。いやさ、最近のスマホゲーってやつが本当に面白かってなー。
あれから2日たち、その間でミサに通信環境を設備、強化してもらってスマホゲームを楽しんでいた。
通信環境の悪さでいくつか断念していたゲームをやっているが、いやはや面白すぎて困る。
バイトに関してもそろそろ復帰するが、ハジメとサトシ、更識の増員で喫茶カミキは大繁盛中だ。あの容姿と、主に主婦層的にはハジメの接客が。意外だったのはサトシとハジメの料理スキルの差。更識はマオの女子会で実はお菓子を作っていたと聞いていたから不安はなかったが、サトシもかなり作れる方だったことに対し、ハジメはどうやら出来ない方だった。アレは俺は食べれたが他メンバーが悶絶気絶多発で店に出せず、フロア中心になった。つまり午前のパン屋は来なくていいと言うことだな。ハジメが気を落としていたが、俺は一応フォローした。
「アレから色々あったなー」
「………そーだねー」
「まったくじゃなー」
「「…………」」
アレからもう二つほど変わった事はある。
『舞夜』が家にやって来ることと、『麻央』がアレから姿を現さないことだ。
あの夜麻央は突然姿を消し、それから一度も顔を見ていない。
だがおそらく力を解放したことだけがわかるのは、今こうして二体目の思念体『舞夜』がここにいることだろう。
「思念体が思念体を作るって、麻央にしかできない芸当だな」
「そーじゃのー」
「…………そーね」
二人して興味なさそうだが、ひとまず用意できた朝飯を置く。
「待ってたのじゃ! いつもマオばかり食べてずるいのじゃ!」
「そー思うなら出てくればいいのに。別にあの時だってお前だけの意思で動いたわけではないだろ?」
「……なんじゃ、気付いておったか」
麻央が暴走した約二年前、あの日の容姿は麻央だが中身が舞夜、そんな魔王だった。しかしどちらにもない何かが指揮権を持ってたようにも感じてはいた。少なくとも舞夜も麻央も、魔王になる意味も、魔王のおっさんを殺す動機は無かったから……。
「しかしのー、あの日のことはうろ覚えなのじゃよ」
「そーか」
覚えてないならいい。引き金を引いたのは多分俺だから。今はまだ思い出して欲しくないし、出来れば思い出さなくていい。
まったく、あの引き金取り付けたの誰だよ。おかげでこっちはそのあとすごく大変な非日常を始めたんだから。
食べ終わって食器を片付け、俺は朝弁を三つ、そして昼食6つ用意する。
「にしても相変わらず手際がいいな」
「ま、人数さえ分かっていれば大体のは用意できる。ま、増えた分だけ用意する種類は減るがな」
と、ご飯に野菜炒め、卵焼き2、3切れ入れて閉じる。
「ほれマヤ、今日から転入生として頑張れるようにデザートを特別に用意した」
「おー、ありがとう!!」
おまけのプリンを舞夜に渡し、
「ほれユウカ」
「………ありがと」
ここが大きな違いだな。多分麻央なら「ずるい!!」って言うだろうけど、優華はそうはならない。ただ嬉しそうにニコリとする。ま、別に無表情しかできないわけじゃないからな? 麻央の妹だぞ?
「さ、行くか」
運良く連休明けだ。なんだっけ、確か創立記念日だっけか昨日は?




