霧払い 2
「実は俺、武器いじりが趣味でな。この手榴弾には限界ギリギリまでの爆薬、自作発火増幅系火薬をいい配分で突っ込んでいるんだ。あ、この拳銃にも、この銃口のライフリングも何度も加工して狙撃できるほどの弾丸を放てるんだ!」
タンコブをつくり、頬を赤く腫れ上がらせたサトシは懲りずにユウマとノブキに自慢げに拳銃や手榴弾を見せびらかしていた。
「マジかすげー!!」
「ああこれ、ちょっと撃ってみていいか!!」
……さらに、ユウマとノブキも『同じ穴のナンタラ』だった。
ふと後方を向くが、オークは追ってこず霧の中。
そして、一通り拳銃を見たユウマはため息を吐いてサトシに返す。
「おいおいどうした? なんか不満なとこあったか?」
「……いやなー」
とユウマは遠い目をする。
「俺も拳銃を、それも結構な自信作だったが、おまえに見てもらえばもっといいのができたかもなーって」
「あら意外ね」
少し興味がそそられる話題に私は話に混ざる。
「あなたなら魔法でなんでもできると思ったけどね」
「確かにそーね」
と愛花も話題に入る。
「魔法ってなんでも出せるじゃない。火の玉、稲妻、土の乱れ打ち……ゲーム知識だけど、初歩でもできそうな魔法ってだけでも現代科学より秀でてない?」
「いや、そうでもないぞ」
ユウマは否定した。
「確かに弾担いだり拳銃携帯するよりはマシかもな。だが」
と、2センチほどの手のひらサイズの魔法の壁をつくり、再び借りたサトシの拳銃を壁に発砲した。壁は風穴を開けてひび割れ、2秒で消滅した。
「意外とゲームのパワーバランスは正しいんだ。そもそも炎が鉄球見たく固いわけじゃないから貫通するし、水だって球の速度落とせればいいくらい。何より拳銃は弾無くなれば最悪捨てて離脱もできるが、魔法なら魔力ゼロで即ゲームオーバーまっしぐら。立つ力残ってれば別だがな」
と拳銃をサトシに渡し、外を見る。
「……だから、この霧が魔法なら、術者は相当の手練れだろうな」
そしてユウマは、スマホを弄る。
「この霧、ユウマならどうにかできないの?」
「無理だな、今は」
「今は?」
視線は向けずユウマは続ける。
「いいか? さっきサトシの爆風で一度晴れた。だが、再び霧は出来た。なら根元潰さない限り霧は消えない。幸い視界が悪くなる程度で毒素は無い。だがたまに起こるループ現象はなんとかしないと、今見たく運よく拾えだが、また離れた時に合流ができる保証はない」
「つまりこの霧で一人になれば」
「……オーク複数体相手して勝てる?」
その問いに、誰も「勝てる」とは言わなかった。
改めて、あのオークには再生能力があり、頭部を切り離す、あるいは潰す事で倒せるが、先ほどの巨体は仲間を生むし、本体の頭に攻撃できる武器を持ってはいない。拳銃では到底敵わないし、勝てる武器は動きの制限ができるため、もし本体を戦闘不能にしても分離体が止まる保証がない中では無理だ。
「ま、あのオークはできれば霧の中、いや森の中で始末できれば被害はこれ以上出ないだろう。さらに幸運なのは」
と後方を指差す。
「今、確実に山を降りないだろうから霧晴らしても支障なさそうでよかった」
後方で、ウジャウジャとオークが追いかけてきていた。




