波長が合う者 4
目の前に立つのは、漫画みたいなロボット。
エネルギーは、どうやって引き出したかを開発者自身理解していないが、確かに神樹からだった。
神樹のエネルギーで装甲は特殊化し、腕から放たれた弾丸も魔法のように神樹のエネルギーという名の『無』から、あるいは足裏の汲み上げ装置で、今回の地形では土を圧縮して、などの『有』からの二種でミサ独自のAIが判断したり……とにかく作成者自身うまく理解出来てない部分踏まえ《ハイスペック》だった。
「私の頭脳が天才たらしめるのは、たとえ理解出来ないことすらも利用できてしまうからなのだ!!」
「マジか、半端ねーな!!」
「でしょでしょ!!」
「なあなあ、ロケットなパンチはできねーのか!」
「フッフッフ、まだ実装できてないけど、予定では遠隔バンドを作るよ!」
「マジか!?」
「いいから全力で走れユウマ!!」
誇らしげな彼女を抱えたハジメ、そして何とか気合振り絞った俺は走る。
知ってるか? 走る時って意外と登頂より下山が辛いんだぜ。だって重心の掛け方ひとつで前のめりからゴロゴロと転げ落ちちまうんだからな。ま、人それぞれだろうが。
あの男はロボと死闘を繰り広げている。『ダークソード』で何度も斬りかかる男と、それを片腕で防ぎつつ拳を振るうロボット。両者一歩も譲らない。
だが、若干動きは男にあり、戦いつつも俺たちを追っかけてくる。
「逃げるなユウマ!!」
「逃げるわ! 馬鹿みたいに戦ってられるか!!」
逃げるが勝ちだ。よく分からん男に恨まれ、狙われて、いい迷惑だ。
「チッ!」
ハジメは後方に数発撃つ。だが少し動きを止めただけでまた追いかけてくる。
「なあユウマ、お前何やったんだ?」
「知るか! それより何とか何ねーのか!」
「大丈夫、そろそろ来るはずだから!」
「誰が……ってのあっ!?」
間を割って突っ込んだそれはロボ。どうやら足止めが限界だったようだ。俺たちの足も、自然と止まった。
見た感じ一応動けるだろうが、補助が必要なほど損壊しているロボを見て、そして後方の男に向く。
「うーん、まだ改良の余地ありかー」
とミサは残念がるが、俺としてはむしろ流石と言いたい。
自称するだけのことはある『天才』。神樹の溢れるエネルギーは《魔力》に似たものだった。それはつまり実体のないもの。手にとれないもの。さらには空気みたいな元素ですらないもの。
しかしそれは『無』から『有』を作り出す。ただ、そこにある。ただ、それは扱える。
それをイディオの人間に聞いて分かるものではない存在。
しかし当たり前に使えるからイディオの生命は誰も疑問に思わず、当たり前に使う。
神樹のエネルギーはそれに近い。そしてこの世界の人間には本当は扱えない。だって普通は使わないし、感覚で理解できるものもそう多くないはず。
それを彼女は、理解せずに使う。
「……すげーよほんと、お前は十分天才だ」
俺はミサを撫で、そして前に立つ。
「……本当に、ミサも、ハジメも、更識も、あの馬鹿もいれていい……本当に俺の周りに凡人はいねーよ」
「お、おいどうした?」
ハジメは怪訝そうにするが、俺は深く深呼吸をし、
「……失敗イコール『死』、かな」
一か八か、俺はロボに手を当てて、イメージを送る。
魔法を簡単に考えるなら『イメージの具現化』。炎をイメージすれば炎、水を多く空から降らすイメージすれば雨を……魔法とは、追求すれば練度を増すが、逆にフラットに考えてもうまくいく。必要なのは魔力の有無と、適正だ。
「……よし、いい子だ」
『俺の魔力を充電する』イメージがうまくいき、ロボは立ち上がると先程より少しだが早い動きを見せる。
「……まてよ」
そこで俺はスマホを取り出した。
恐らく、これが逆転の一手になると信じて。




