戦慄 3
「……いました」
「でかいわね…」
「ああ、でかいな…」
山頂から少し降りた位置に、木々に隠れたそれはいた。座っているけど、全長3メートルのオークが。
「……クロがいてくれれば」
ルシーは聞き取れない声で呟き、そこから右手に光を集めるようにして突撃した。
「おいまて堕天使!」
ギンキの声も届かず、彼女は巨体の右腕を見据え、
「『ライトソード』」
光の刃となった右手でオークの右手を切り落とした。
しかしオークは動じず、顔は彼女を捉えて、
「堕天使、回避しろ!!」
オークが宙を舞った右腕をとると、勢いよくルシーに投げた。彼女はギンキの声に瞬時に左へ回避したが、思いもよらない光景に全員固唾を飲んだ。
「……腕が、オークに?」
約1メートルほどの右腕は、飛来する中で形状を変え、オークの形で地面に突き刺さった。そしてそれは頭を地面から抜き、ルシーに歩き出す。
「この程度!」
彼女は頭をはねると、今度こそオークは動きを止めて消えたが、さらに驚くことが起きた。
「ルシファーさん! 腕が!!」
彼女が振り返った時、すでに巨体の『右腕』が彼女の目の前にあった。
「突っ立つな堕天使!!」
掴もうとした右手の握力は抜け、ルシーは後方に飛び避ける。ギンキが斧で腕を落としたのだ。
「ギンキ、引きましょう! 今は形勢が悪いです。ユウマたちと合流した方がいい」
「分かったぜ参謀!」
ギンキは暴れるルシーを抱え、あえて山頂を目指すハンサについて行く。
「おら、オマケだ!」
しかし見た目より早く走ってくる巨大オークに、サトシは特製手榴弾を投げつけた。
「あ、バカ! みんな伏せて!!」
その手榴弾が危険なことを知っている私は皆にそう叫ぶ。そして––––
盛大に、それは爆発した。
上半身が砕け散ったオークに、サトシはガッツポーズをするが、それに対して拳骨した。
「何やってんのサトシ! アンタの武器って常識外の危険物でしょうが!」
「いやあれは大概だろ!!」
必死に弁明しようとするサトシだが、指差す方向を見て絶句。
「皆さん走ってください! 今のうちに」
カナコに促され、再び山頂へと目指す。
後方では、再起しようと飛び散った肉片が集まって行くオークの姿が、さらなる窮地へと落とそうとしていたから。




