戦慄 2
しばらく駆け足で進む。
ハジメが心配な気持ちはあったし、それでせく気持ちはあった。
でも何より、優華の目や麻央の存在が少なからず脳裏に浮かんで離れず、もはや逃避だ。
オークが出てこないまま進むと、がさッという音に警戒して止まる。森の中で茂みが多く、多方向の警戒が怠れない。全員が警戒する中、それは茂みをかき分けて現れた。
「...あら、またお会いしましたね」
出て来たのは葉っぱをつけたルシーで、後方には二人の男性が出て、
「ギンキさん! それにハンサさんも!」
とカナコが声を上げた。彼らはボロボロだったが、ボディービルダーのようなガタイのギンキは豪快に笑う。
「おう、カナコ! その様子じゃあの魔王はジッとしてなかったな!!」
すると鋭い眼光がルシーからギンキへと向けられる。
「…マオ様を馬鹿にするな。あのお方はお優しく英明なお方。ユウマ様のお考えを何も聞かずとも理解し、ここまで駆けつけたのだぞ!」
「理解してんならそもそも来ねーだろ! あいつは遠ざけたんだぞ。心配で。そんな男の意地を汲み取れてない奴を馬鹿にして悪いか!?」
「それなら貴様のところの勇者だってそうだろ! そもそも何で勇者は今日同行してるんですか、馬鹿なんですか!」
「テメー!」
「ぐぬぬっ!」
ふたりが一触触発な状態になった時、今まで無言だった細身の男が口を開いた。
「…それより先を急ぎましょう。僕らは僕らで見つけないといけないものがあるんですから」
「ハンサさん、それって……」
「あ、カナコさんたちにはまだ話がいってませんでしたか」
ハンサは少し間をおき、
「実はこの霧の中で現れるオーク、作られている場所があるんじゃないかと先程ユウマさんからメールされて、今その場所に行こうとしているんです」




