『偽物』 5
「ハッハハハハハハハハハハハ!!」
俺は二重の意味で笑う。一つはその宣戦布告が人間だけでなく獣人、魚人、鳥人、エルフ、そして竜人までに向けたものであったことと、今高らかに再現しようとして立ち上がった結果、マオは木から落ちたことにだ。
俺は笑いながら降りると、マオはふくれっ面だった。
「もー! ユウマだけだよ、そんなに馬鹿にするのは!」
「いやー悪い悪いって。お前の武勇伝は何でも飽きないな!」
「もーーー!!」
これ以上笑えばしばらく抱き着く嫌がらせされそうだから、ここらへんでやめとくことにする。
しかしもう一つ笑う要素はあった。
「...そんなことかよって、笑っちまったんだよ」
この話が始まった、始まりは『自分が偽物』という悩みからだ。
「そんなことって......」
「いやお前が悩む問題か? まったく菓子のことやおかずのことに比べて些細すぎるなーって」
「そんなに!?」
「そうだよ」
俺はマオに手を差し伸べ、ふくれっ面のマオは手を取る。
「だってさ、鏡から出たからってだけで偽物本物って、すっげー些細!」
「そーかなー?」
「そうだって」
ぽんぽんとマオの頭をたたく。
「だってそうだろ? 『ユウカ』はあいつだけ。そしてお前が『ユウカ』ではなく『マオ』だろ? そして『ユウカ』は『マオ』じゃない。ほら簡単だ」
幼い頭での発想だ。穴だらけだって今はわかる。
だが、俺は今も変わったつもりはない。『ユウカはユウカ』で、『マオはマオ』、そして―――
だんだん覚める感覚が分かる。少し麻央が焦っている声が聞こえる。きっとユウカが肩に預けてる光景に文句があるんだろう。
晴れる霧の中、さめる夢のマオは、きっとこの日に、俺が、無自覚な『呪い』をかけたんだろうな。
あるいはマオが俺に―――。




