霧中 2
「……くっ」
横腹を抑えるが、腫れよりも出血が多く声が出せない。痛みには慣れているものの、身体が三時間の戦闘でもはや動いてはくれない。
霧が濃く、薄らとしか聞こえない脳筋の声に返す言葉もなく、ただただ押し寄せるオークに、私は……。
「あーーーーっもう!! やればいいんでしょやれば!!」
突然、嫌々な声を出す女の子の声が辺りに響き渡り、ついで私の体を抱き起こされる。
「……あなたは…」
霞んだ瞳で見たのは、確か、『更識』と言う麻央様のご学友だった。
「……私を置いていってください。ここは危険です」
「知ってます! でもあんな化け物のど真ん中に置いていけません! それに––––」
と、彼女の表情は強い意志を感じた。
「わたし、目の前で傷付いている人を助けるのが仕事なんで!!」
そういうと彼女は空いてる手で懐を弄り、何かを掴んだのかパッと取り出してオークに投げた。
瞬間、爆発しオークは四散した。
「よし効いた! 今のうちに出ますよ!!」
と今度はスマホを取り出して、画面を覗きながら進む。
「……ありがとうございます」
「礼ならアイツに言ってよ。いきなりスマホ貸せって言われて変なアプリ入れて助けてこいって、あんたらよりユウマの方がかなり危険じゃない!」
「ですが、それが彼です。そして、だからこそ皆が救われていくのです」
「全くね!! 本当、非日常に身を置いてる自覚あったけど、こんなとこまで足突っ込みたくなかったわよ!!」
スマホを頼りに進み、しばらくすると霧が薄れ、ようやくあたりが見渡せるほどの河原についた。
ようやく落ち着いたところで芝生に寝かされ、そして彼女は右手に拳銃を突きつけ、左手には手榴弾を構えていた。
「……さ、待ってる間に異世界観光の感想聞かせてもらおうかしら?」
彼女の「待ってる」のはおそらくユウマの事と察し、空が動いたのであれば残念ながらギンキも無事だろうと思い、そして彼女もまた、あくまで構えただけで本当に撃つ気はないと見抜いて話をする。最も、今のわたしでは彼女に抵抗はできないけれども。
「……何から聞きたいのですか?」
ひとまずこちらも懐から《フルポーション》を取り出し、回復する間答えることにした。




