霧中 1
「……ハハハハハッ!! ここまでの大差とは笑いが止まらないな!」
2人の男女が片膝をつく。この2人を知るからこそさらに滑稽だ。
「両勢力の右腕がこれじゃ、今の勇者と魔王はそこまで落ちたってことか? こりゃ『色々』楽しめそうだな」
「……ゲスが」
両者ともゆっくりと立ち上がるが、見たまま瀕死だ。
とはいえ、既に100は超える数を消された。今も2人を包囲するほどの量はあるが、これで息が上がってなかったら勝機は薄かっただろう。まあ無くならないが。
「……ったく、こりゃどー言う手品だ?」
「つべこべ言わず、働け脳筋」
「へっ、だったらオメーは寝てろ。俺がかたす」
「ふっ、ありえんな。お前が寝て死ね」
再び突っ込んだ2人は的確に一体ずつ消す。だいぶ減ったオークに悩み、一つの命令を行使した。
「『集まれ、ロードに食われろ』」
下っ端は上位種『オークロード』に集まり、ロードは一体掴んでは捕食し始めた。一体食べるごとに大きく、強化されていくのを2人は阻止しようとするが、他のオークが阻んで出来ていない。
三体捕食した後、ロードは『キング』に昇華し、突き進む道のオークを片っ端から捕食しさらに大きくなりながら2人に突っ込んでいく。
「んなろがアァァァァァア!!」
しかし斧の腹でギンキは動きを止めた。
「ハハッ、これはすごい! オークキングと互角の筋力とは、人間で測っていいくらいだ!」
「はっ、この程度……ルシファー!」
「ヤアアァァァァ!!」
動きを止めたキングに一閃、首が落ちたキングは力を落とし、はじき返され斧で割られた。
「……一体にその体たらく、まだ二体もいるぞ?」
次々と押し寄せるオークに、それでも2人は奮闘し続ける。
だが、限界を迎えたのかルシファーは剣をはじかれ、体制を崩したところを棍棒で殴り飛ばされた。
「ぐぁっ!?」
「ルシファー!?」
飛ばされた方向に視線を向けるが、かなり濃くなってきた霧で姿はほぼ見えない。駆けつけようとするが、阻まれる。
「ルシファー! 無事かー!!」
…返事はなかった。




