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コール・マイ・ネーム  作者: 大原英一
第3章 ラッシュからのー?
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 アスカさんの超高速ジャイアント・スウィング(腕つかみバージョン)により、アタシは地の果てまで飛ばされた……というのは大袈裟だが、ものっすごい遠くまできたことはたしかだ。

 どこよ、ここ……まあ、さっきまでいた場所も意味不明だったからね。愛羅舞アイラブラッシュってなに? デモンズ・アイってなに? アスカさんて何者? タキオカの変貌ぶりはなぜ?

 わからないことだらけだった。途轍もない回転によって上空へと放り投げられ、この僻地まで飛ばされた挙句地面に叩きつけられたアタシは、かすり傷ひとつ負っていなかった。


 もしかして、アタシ最強なんじゃね? それともアスカさんが危惧していた、悪魔としての覚醒がはじまったのだろうか。

 いまは手許に鏡がないけれど、あるいはアタシのオデコにはもう第三の目が顔を出しているのかも。こわくて額に触れることができなかった。あまり刺激しないほうがいいって、アスカさんも言ってたし……。

 どーすんのよ、これから。とりあえずタキオカから逃げる? だが正直、彼を怖いとは思わなかった。いまだに彼を敵とは認められないアタシがいる。


 砂漠のような地帯をあてどもなく歩いた。

 べつに移動する必要もなかったのだが、歩きながらいろいろと考えたかったのだ。方向もわからず進んで、これでまたデモンズ・アイに戻ってしまったら、本当に笑い話だ。

 さてさて。アタシのなかで、ある仮説のようなものが出来つつあった。

 新しい職場で最初のモンスター(上司)と遭遇したときから世界はおかしくなった。以降、世界もアタシ自身もずっとおかしいままだが、途中から毛色がちょっと変わってきた。


 具体的に言うと、アスカさんが登場したあたりからだ。それまで世界はパチスロのように単純だった。ここは友人ぼたんが打っているパチスロのなかの世界だと、ゲームの世界なのだと、本気で信じていた。

 ところが、そこにべつの要素が混じってきた。あのパソコンが表示した画面。ハナノエイジというペンネームを使った、オオカワエイジのネット小説。アスカさんはその、ネット小説つながりの人物であるらしい。

 ネット小説および小説投稿サイトのことをアタシは知らなかったわけだし、わが友人ぼたんとは、そもそも何の関係もない。


 ぼたんを恨んでもいまさら仕方ないが、アタシがこのヘンな世界に閉じ込められたのは彼女がきっかけだと思っている。

 だが、それとはまったく関係ないところで、今度はオオカワにまつわる物語が進行しつつある。

 悪魔がどうしたとか覚醒するとかしないとか、正直かなりウソっぽい。虚構フィクションの臭いがバリバリする。

 パチスロというゲームも、ネット小説も、等しくヴァーチャルな世界だ。現実ではない。この現実感をともなわないアタシ自身の肉体が、それを雄弁に語っている。


 遠くに町らしきものが見えた。これはあれか、砂漠が映し出す蜃気楼というやつか。だが今は夜だぞ。正確に言うと昼ではない。昼夜も天候も、よくわからない。ただただ薄暗い。

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