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まだ聞きたいことは山ほどあったのに、今回の役目が終わったらしいタキオカは、一瞬で姿を消してしまった。
よくアニメなどで魔人が煙とともに消えたり、ぼんやりと透けつつ消えたりするが、この世界ではそういったフェイド・アウトはないらしい。まさしくカット・アウトだ。
さきほどタキオカも言っていたように、この世界は全体的に脈絡がない。時間的な連続性もきっとないのだろう。だから、いままで目の前にあったものが、つぎの瞬間には存在していたかさえ怪しくなる。
その際、かるい目眩のようなものをおぼえる。肉体的な感覚はこの世界では失われているはずなのだが、たぶん意識がついていけなくて、そうなるのではないか。あるいは現実の名残りか。
おかしなことが多すぎて、どれから手をつけていいか迷ってしまうが、とりあえず最大のやつから行ってみよう。
ここはどこだ。仮に友人ぼたんが現実で打っている、パチスロのなかの世界だとしよう。二次元のゲームの世界と言い換えてもいい。
だがゲーム内のキャラクターが、いまのアタシのように、自分の置かれている状況についてウダウダ考えたりするだろうか。
ゲームやアニメの登場キャラというのは、なんて言うか、もっと一所懸命だ。だいいち、キャラがウダウダ考えているゲームなんぞ、プレイヤーにとっても楽しくないはずだ。
それにだ。ここがもしパチスロのなかの世界なら、機種名は一体なに?
ぱちすろ『派遣物語』
ぱちすろ『オペレータ伝説』
ぱちすろ『舞の、まいっちんぐな日々』
あきらかに、おかしいだろう。プライベートすぎるだろう。アタシは芸能人でもなんでもないのに。
そう、ここはあまりにプライベートすぎる。アタシに関係のある人物その他が多すぎる。
たしかに、一部アタシのしらない情報も混じってはいる。最初にでてきたモンスター上司や、オオカワとネット小説のくだりなどがそれだ。
だが、それさえもアタシの妄想だったとしたら? つまるところ、アタシはいま夢を見ているのではないか。
……考えても仕方がない。でも止められない。いくら考えても、この悪夢は終わってくれそうにない。
ちょっと退屈してきた。はやくつぎの来訪者があらわれるなり、イベントが起こらないかな。
そう言えば、先ほど大当たりを引いたらしい彼女はどうしているだろう。あいかわらず死んだような目でタバコをふかしているのだろうか。それが、ぼたんにとっての上機嫌スタイルなのだ。
何気なしに窓の外を覗いた。えっ、
ちょっと待って。真っ暗だ。誰もいない……まあ、考えてみれば彼女も二四時間稼動しているわけじゃないし、そもそもお店にだって閉店時間がある。現実の尺度で言えばの話だが。
これまた何気なしに窓に触れてみた。およよ? 手首から先が窓のむこうの闇に消えた。あわてて手をひっこめる。よかった、ぶった切れてはいないようだ。
これはもう、首をつっこんでみるほか、ないっしょ。




