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コール・マイ・ネーム  作者: 大原英一
第2章 異世界と違世界
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 まだ聞きたいことは山ほどあったのに、今回の役目が終わったらしいタキオカは、一瞬で姿を消してしまった。

 よくアニメなどで魔人が煙とともに消えたり、ぼんやりと透けつつ消えたりするが、この世界ではそういったフェイド・アウトはないらしい。まさしくカット・アウトだ。

 さきほどタキオカも言っていたように、この世界は全体的に脈絡がない。時間的な連続性もきっとないのだろう。だから、いままで目の前にあったものが、つぎの瞬間には存在していたかさえ怪しくなる。

 その際、かるい目眩のようなものをおぼえる。肉体的な感覚はこの世界では失われているはずなのだが、たぶん意識がついていけなくて、そうなるのではないか。あるいは現実まえの名残りか。


 おかしなことが多すぎて、どれから手をつけていいか迷ってしまうが、とりあえず最大のやつから行ってみよう。

 ここはどこだ。仮に友人ぼたんが現実あちらで打っている、パチスロのなかの世界だとしよう。二次元のゲームの世界と言い換えてもいい。

 だがゲーム内のキャラクターが、いまのアタシのように、自分の置かれている状況についてウダウダ考えたりするだろうか。

 ゲームやアニメの登場キャラというのは、なんて言うか、もっと一所懸命だ。だいいち、キャラがウダウダ考えているゲームなんぞ、プレイヤーにとっても楽しくないはずだ。

 それにだ。ここがもしパチスロのなかの世界なら、機種名は一体なに?


 ぱちすろ『派遣物語』

 ぱちすろ『オペレータ伝説』

 ぱちすろ『舞の、まいっちんぐな日々』


 あきらかに、おかしいだろう。プライベートすぎるだろう。アタシは芸能人でもなんでもないのに。

 そう、ここはあまりにプライベートすぎる。アタシに関係のある人物その他が多すぎる。

 たしかに、一部アタシのしらない情報も混じってはいる。最初にでてきたモンスター上司や、オオカワとネット小説のくだりなどがそれだ。

 だが、それさえもアタシの妄想だったとしたら? つまるところ、アタシはいま夢を見ているのではないか。

 ……考えても仕方がない。でも止められない。いくら考えても、この悪夢は終わってくれそうにない。


 ちょっと退屈してきた。はやくつぎの来訪者があらわれるなり、イベントが起こらないかな。

 そう言えば、先ほど大当たりを引いたらしい彼女はどうしているだろう。あいかわらず死んだような目でタバコをふかしているのだろうか。それが、ぼたんにとっての上機嫌スタイルなのだ。

 何気なしに窓の外を覗いた。えっ、

 ちょっと待って。真っ暗だ。誰もいない……まあ、考えてみれば彼女も二四時間稼動しているわけじゃないし、そもそもお店にだって閉店時間がある。現実の尺度で言えばの話だが。

 これまた何気なしに窓に触れてみた。およよ? 手首から先が窓のむこうの闇に消えた。あわてて手をひっこめる。よかった、ぶった切れてはいないようだ。

 これはもう、首をつっこんでみるほか、ないっしょ。

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