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コール・マイ・ネーム  作者: 大原英一
第2章 異世界と違世界
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「ちょっとタキオカさん、神出鬼没じゃないですか」

「だから……いまはルシファーですって」

 アタシはそれには取り合わず、

「今度はしばらくいてくださいよ。寂しいじゃないですか」

 タキオカは、ゆでだこのように真っ赤になった。なんか勘違いしてるっぽいぞ。

「あの、寂しいんでしたら、オレがお相手しましょうか」

「残念ですけど、お話以外のことはしてくれなくて結構。ヘンなことしたら百裂拳……じゃなくて、あれ、なんでしたっけ?」

「さあ……」涙目のタキオカ。


「それで、ボーナス確定って?」

「あちらの方が大当たりされたようです」

 タキオカは窓を指した。現実あちらでパチスロを打っている、わが友人ぼたんのことだろう。

「ねえ、ここってやっぱり、パチスロのなかの世界なの?」

「そうみたいです。……えっと、ちなみにオレも好きでやってるわけじゃあ、ないですから」

「違うの?」

「違いますよ。どうせだったらお姫様を救う勇者の役、やりたいです。それがこんな微妙なサブキャラだなんて」

「守護天使なんでしょう?」

「いちおう、そうみたいですけど、ただのチャンスアップ・キャラですからね」

「チャンスアップ……何の?」

 そこで彼が説明してくれた。なんでもボーナス確定後に守護天使タキオ……じゃなくてルシファーが出現すると、その後の連チャンに期待が持てるそうだ。

 まあ連チャンしても、ぼたんが喜ぶだけで、アタシにメリットはない。むしろ何連チャンしたらここから解放されるとか、ないのかなあ……。


 すっかり忘れていた、アタシがぶっ飛ばした人狼さんのこと。

 例のごとく、バトルの痕跡を示すものは何も残っていなかった。ボコボコにされた人狼さんも、さっさと捌けてしまったようだ。

「さっきの狼男みたいなヒト、なんだったの?」

「ああ、あれオオカワさんです」

「ええーっ!」

 なんだよそれ。悪いことしちゃったな……いや、でも襲ってきたのは彼のほうだし。

「なぜ彼が狼に?」

「よくわかりませんが、なんでも、ネット小説家を目指していた男が夢破れて、狼になってしまいました的な。そういうストーリー系の演出らしいです」


「なにその『山月記』みたいな設定。あれは虎だっけ。まあ、いいけど、なんでアタシが襲われるのかな?」

「わかんないっす」彼は言った。「なんか脈絡がないっていうか。全体が見えない感じっす」

「そうね。……ねえ、タキオカさん。あなた、出現していないときは、どこで何をしているの?」

 すると彼の表情が若干曇った。

「わかんないっす。でも、あまりいい状況じゃない気がする。薄暗くて、ちょっと寒いような……」

 なるほどと思った。それは死の感覚に近いかもしれない。

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