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コール・マイ・ネーム  作者: 大原英一
第2章 異世界と違世界
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 少しずつ、世界がおかしくなって行った。

 たとえばアニメやゲーム、パチンコ、なんでもいい。ヘンなモンスターがたくさん登場して、主人公たちがそれと戦う。とくに何の疑問ももたずに、けっこう残酷に。

 アタシは昔から現実主義者だった。剣と魔法を駆使して魔物たちを倒すようなファンタジックな世界には、およそ興味がもてなかった。『ランボー・怒りの脱出』のほうが、まだ親しみが持てた。

 ところがだ。

 先日、友人ぼたんと夏旅行に出かけた。ぼたんは自称パチプロだ。想像はしていたが、彼女は旅先でもパチンコをやった。

 パチンコが仕事というのなら、旅行中くらいお休みしてもよさそうなものだ。ところが、彼女はそうではないらしい。これはもう仕事中毒だ。いやパチンコ中毒だ。

 そんなわけで(どんなわけで?)、アタシも人生で初のパチンコに挑戦することに相成った。っていうか、はじめアタシは彼女のとなりで見学するつもりだったのだ。それがいきなり、

「せっかくだから、舞っちんぐもやりなよ」

 と、彼女がアタシの目の前の台にお金をぶち込んでしまったのだ。しかも一万円っすよ。どういう金銭感覚をしているんだか。

 しかもしかも、これパチンコ台じゃないし。スロット台だし。スロットなんて、やったことないし……まあ、パチンコも同じだが。


 奇跡というのは、まれに起きるらしい。その後アタシに起こったいろいろの変異と併せて考えるに、むしろその奇跡は悪い予兆だったのかもしれない。

 なんのことはない、はじめて打ったスロットで、バカ勝ちしたのだ。いわゆるビギナーズ・ラックというやつだ。

 スロットの打ち方なんて、もちろん知らなかった。

「メダルを三枚以上入れて、レバーを叩いて、ボタンを押してリールを止めるだけ。テキトーで大丈夫だよ、当たるときは、当たるから」

 ぼたん先生は事もなげに言う。弟子のアタシは、おそるおそる遊戯を開始した。

 なにが驚いたかって、投資のペースだ。一万円を表示していた赤のデジタルが、あっちゅう間に五千円になってしまった。ああ、これは先生には申し訳ないが、すぐにオケラだなとアタシはあきらめた。その直後だった。

 レバーを叩くと同時に、けたたましい音がした。液晶の画面では、なにやら深刻そうなストーリーのアニメーションがはじまった。しかも、リールがまったく動かない。けたたましい音は鳴りやまない。台が壊れたか?

「おおっ、舞っちんぐ、それフリーズだよ!」

「フリーズ?」

 わけがわからなかった。が、ぼたんのキラキラした表情から、なにか途轍もない大当たりを引いたという予感はあった。案の定、液晶画面に「おめでとう」の文字。しかも登場キャラ総出である。あざっす、よくわからないけど。

 気づけばリールも回っていた。フリーズとはしばらくリールがかたまることで、プレイヤーをびっくりさせる演出であるらしい。

 画面の指示に従い「7」を狙わなくてはいけないのだが、当然アタシは目押しができない。なので、そこはぼたん大先生におまかせした。

 彼女は紫煙を吐きながら、まるで魔法のように「7」を揃えた。

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