表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/117

第28話 「接続切断」

 空気が歪む。


 観測者の端末が、静かに手を上げた。


「来い」


 その一言で。


 空間が裂ける。


 影が溢れる。


 だが今までと違う。


 密度が違う。


 “質”が違う。


「……厄介だな」


 アレンは小さく呟いた。


「どうする?」


 リリアが剣を構える。


 その目は楽しそうだ。


「全部まとめていく」


「了解!」


 即答。


 セリスも前に出る。


「正面は任せろ」


 エルミナが魔力を展開。


「後方支援に入ります」


 アレンは一歩踏み出した。


 視界が広がる。


 戦場全体。


 流れ。


 そして――


 “接続”。



【影群】

状態:観測者と接続

弱点:接続ライン



「……やっぱりな」


 アレンは笑った。


「全部繋がってる」


「どういうことです?」


 エルミナが聞く。


「こいつら個体じゃない」


「全部一つの“系”だ」


「なら」


 セリスが言う。


「元を断てば終わるか」


「そういうこと」


 アレンは観測者を見る。


「お前だ」


 男がわずかに笑う。


「来れるなら来てみろ」


「やってやるよ」



 戦闘開始。


 影が一斉に襲いかかる。


「左五!」


「任せろ!」


 セリスが斬る。


 正確。


 無駄がない。


「上!」


 リリアが跳ぶ。


 一撃。


 二体同時撃破。


「拘束!」


 エルミナが止める。


 完全に流れができている。


 だが。


「数が多い!」


 リリアが叫ぶ。


「無限かこれ!」


「違う」


 アレンが言う。


「供給されてる」


「なら!」


 セリスが踏み込む。


「本体を叩く!」


 だが。


 距離が遠い。


 影が壁になる。


「通さない、か」


「当然だ」


 観測者が言う。


「我々は“観る者”」


「簡単には届かん」


「なら」


 アレンは笑った。


「道作るだけだ」


 視界を深くする。


 影ではなく。


 “線”を見る。


 接続ライン。


 無数。


 絡み合っている。


「……見えた」


「全部」


 アレンが手を上げる。


「リリア」


「右突破」


「了解!」


「セリス」


「正面抑え」


「任せろ」


「エルミナ」


「魔力集中、俺に」


「はい!」


 三人が動く。


 完璧に。


 ズレがない。


 アレンの意識が集中する。


 接続ライン。


 一つ。


 二つ。


 切る。


 影が消える。


「っ!?」


 観測者がわずかに反応する。


「やはりそこか」


「気付いたか」


 アレンは笑う。


「遅い」


 さらに切る。


 供給が止まる。


 影の動きが鈍る。


「今だ!」


 リリアが突破。


 セリスが押し込む。


 エルミナが支援。


 一直線。


 観測者へ。


「……来たか」


 男が手を上げる。


 空間が歪む。


 直接干渉。


 圧が来る。


「っ……!」


 セリスが止める。


 リリアが押し込む。


 だが。


 まだ届かない。


「……なら」


 アレンは一歩踏み出した。


「直接やる」


「アレン!」


「任せろ」


 男の前に出る。


 距離ゼロ。


「……触る気か」


「そうだ」


 手を伸ばす。


 触れる。



 瞬間。


 意識が引き込まれる。



 見える。


 接続の奥。


 異界。


 巨大な構造。


 無数の観測者。


 そして。


 さらに奥。


 “本体”。


「……」


 理解する。


 こいつら。


 観ているだけじゃない。


 選別している。


「……なるほどな」


 アレンは呟いた。


「選んでるのか」


「この世界」



 現実に戻る。


 男がわずかに揺らぐ。


「……何を見た」


「色々だよ」


 アレンは笑った。


「でも一つ分かった」


「お前ら」


「完璧じゃない」


「……」


 男の沈黙。


 その一瞬。


 隙。


「今だ!」


 三人が同時に動く。


 リリアの斬撃。


 セリスの一閃。


 エルミナの拘束。


 そして。


 アレンの手が。


 接続の核心に触れる。


「切断」



 パリン。



 音が響いた。


 接続が切れる。


 男の体が崩れる。


「……見事だ」


 最後にそう言って。


 消えた。



 静寂。


 影もすべて消える。


「……終わった」


 リリアが息を吐く。


 セリスも剣を下ろす。


「完全に断ったな」


 エルミナがアレンを見る。


「大丈夫ですか?」


 その瞬間。


 力が抜ける。


「っ……」


 倒れる。


 だが。


 また。


 左右から。


「……」


「……」


「……お前らな」


「仕様です」


「仕様ですね」


 完全一致。


 アレンは苦笑した。


 だが。


 そのまま目を閉じる。


「……ちょっと休む」


「無理しすぎです」


「同意です」


 だが。


 その声は優しい。



 そして。


 戦いは終わった。


 だが。


 アレンは知っている。


 あの奥にあったもの。


 あの“本体”。


 そして。


 この世界の“選別”。


「……面白くなってきたな」


 小さく呟く。


 物語はさらに深く。


 “真価”の核心へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ